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Evidence
落ち着ける場所

「なに暗い顔してんだってばよ!」
一旦教室の外に出て1人になろうと思ったらこれだ。
まぁナルトは割と好きなんだけど。


「別に元気だよ。」
あたしはふっと笑ってみせる。


「そうかぁ〜?さっき目が死んでたぞ。」
ナルトは目を丸くしてあたしを見つめてくる。

無意識にどんどん顔を近づけてくるあたりナルトらしい。

そんなナルトに頭突きをかました。

「イテテっ」
とナルトは頭をさする。
涙目で
「なにすんだってばよ!」
と言われた。

そんなナルトが可笑しくてつい大声で
「あはははは。」
と笑った。

ナルトはふとしたときあたしを慰めてくれる。
嫌なことを一瞬でも忘れさせてくれる。

ナルトは鈍感そうに見えて妙に鋭いところがある。

常に笑顔で周りを楽しませる。

だけど彼には友達がいない。

あたしはナルトの唯一の友達。


「美里笑いすぎだってばよ!」
ナルトは頬をふくらませた。

そう言われたので笑うのを止めて、ナルトに一言。

「一緒に卒業しようね。」
と言うと、チャイムが鳴った。
ナルトは親指をたてて、
「当たり前だってばよ!」
と言い教室に戻った。

それに続いてあたしも、のそのそと戻る。


今日もまた、授業が始まる。





といっても授業はいつも寝ている。
家だと眠れないあたしは学校で寝るのだ。

隣りのシカマルもいつも寝ているけど、コイツは常に眠いらしい。
幸せ者だ。


「コラァそこ!!」
イルカ先生の罵声が微かに聞こえる。

あたしは夢の扉を開けようとしていた。

が、イルカ先生に無理矢理起こされて廊下に出された。

「やっぱりこのメンバーか。」そう呆れた声でつぶやいたのはシカマル。


このメンバーというのはナルト、シカマル、チョウジ、キバ、そしてあたし。

いつもこのメンバーで廊下行きなのだ。

落ちこぼれの5人だ。

「美里、お菓子食べる?」
そう言ってポテトチップスの袋を向けるのはチョウジ。

「ありがとう。」
と言ってポテチを一枚頂いた。


廊下で座りこむ落ちこぼれ5人。

「ふぁ〜あ。」
あたしは大きいあくびを漏らす。
今日は一段と眠い。

あたしは我慢できず立ち上がって屋上に向かった。


屋上の扉を開けると爽やかな青空が広がっていた。

これならぐっすり眠れそうだ。
あたしは寝転がり目を閉じる。



・・・・『開けてよ!お父さん!』
押し入れを叩く小さいあたし。

『ダメだ。そこで反省していろ。』

押し入れの向こうから低い声で父は言う。

お母さんが家を留守にしているとすぐこれだ。

父が押し入れにあたしを閉じ込めることに理由はない。

ただ、昔からあたしをイジメるのだ。

『誰か・・・開けてよ。』

あたしは膝に顔をつけて泣いた。
いくら泣いても開けてくれないのはもう分かっていた。





「・・・・美里っ。」

誰かに呼ばれて目を覚ます。

重い目を開けるとそこにはシカマルがいた。

「何?」

そう尋ねると、
「いつまで寝てんだよ。そろそろ起きろ。」
と言われた。

さっきより太陽が低い位置にある。
いつのまにかもう帰る時間だった。

「今日結局まともに授業うけてないや。」
あたしは起き上がり目をこする。

「お前、アカデミーやめたらどうするんだよ。」

シカマルはあたしを見下ろし、尋ねる。

「どうするって、ちゃんと忍になるよ。」

「まだあの家にいるのかよ。」

あたしは立ち上がり、シカマルとは目をあわさずに

「出て行くに決まってるじゃない。」
と言った。



何も言わないシカマルに
「帰ろっ」
と笑顔を向けた。






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あきゅろす。
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