Evidence
不器用
ガララ・・・
玄関の扉が開いた音がした。
日も落ちたころ、やっとサスケが帰って来たのだ。
「おかえり。」
「ああ。」
まるで熟年夫婦のようなやり取り。
でもサスケと夫婦になった覚えはないし、ましてや1週間しか暮らしていない。
機嫌が悪いのだろうか。
彼はあたしと離れたところで座り込み、無言で武器を取り出し磨き始める。
あたしは彼に何も悪いことなんてした覚えはない。(サスケんちに居座っていること事態が迷惑なのかもしれないけど)
もうすぐ出てかなきゃならないのに、この扱いは嫌だ。
あたしはズカズカとサスケの元まで向かう。
近くまで行ってドサッと座り込んで彼と目線を同じ高さにした。
「ねぇ?なんなの?もうすぐ出てくあたしに対して、それは酷いじゃない。」
なるべく冷静に言った。ホントは怒鳴りつけたい気持ちだったけど。
「・・・・。」
無言のサスケ。こっちを見向きもしない。
「最後なのに!!なんでそんな態度なの!?」
あたしは思わず大声をあげた。なんだか怒りよりも悲しくなってきて、少し涙声になってしまう。
俯いて鼻をすする。
不安や寂しさや悲しさで、涙がどんどんこみ上げてきた。
ポタッ。
床に涙が落ちる。
それに気付いたのか、サスケがふとこっちに視線をやったのが分かった。
見られたくなくて彼に背中を向ける。
こんなことで涙が出る自分がとても嫌だ。
泣いて済むもんじゃないのに。
「オレもどうかしてる。お前にずっとここに居てほしいと思ってる。」
・・・そうだった。サスケが不器用なことを忘れていた。
サスケも寂しいのだろう。
あたしは涙を拭いてサスケに向き直った。
彼の頬は少し赤く染まっていた。
えへへ、とあたしが笑うとサスケは気まずそうに俯いた。
なんだか凄く嬉しいし、照れくさい。
だけど今日で終わり。
あたしはここを出る。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!