[携帯モード] [URL送信]

Evidence
逃げ道

「ハァ、、、ハァ。」

逃げてきた場所は、かつてのうちは一族の跡地。
ここなら一応は分からないだろう。

そして、クラスメートもいるはず。

「なんだ?なにしてんだお前・・・。」
ちょうどいいタイミングでサスケが見つけてくれた。

サスケの姿を見た途端、体の力が抜け、意識がとぎれた。




目を開けると体の上には布団が被さっていた。

「また倒れやがって。いつもいつも、なんでオレはお前を介抱しなきゃならねぇんだ。」

台所からサスケは呆れた目で見ている。

起き上がり、
「ごめんごめん。こんなはずじゃなかったんだけど。」
と言ってあたしは舌を出す。

あの恐怖を体験した後で、意識を持続させるなんて今のあたしには到底不可能だ。


いい匂いが漂う。

「お前引っ越したんだろ?さっさと食って帰れ。」
サスケはむすっとした表情でご飯をよそった。

先日倒れた原因を知っているサスケは、きっとまた食べていないから倒れたと思っているのだろう。


ちゃぶ台には、サスケの手作り夕ご飯が並べられた。

もぐもぐ食べながら
「さすが長年1人暮らしなだけあって料理も上手なんだね。」
と、静かに食べているサスケに言った。


相変わらず口数が少ないサスケは、何事もないように食べ続ける。


「サスケ・・・一緒に住まない?」

あたしが不意に言葉を発した瞬間、ゴホッと咳き込むサスケ。
急いでお茶を渡すと、彼は一気にそれを飲み干す。

「なに考えてんだテメェは!」
サスケは真っ赤になって怒鳴る。

「1週間でいいからお願い!」
あたしは両手をテーブルにつき、頭を下げて懇願した。


「おい、全く意味が分かんねえ。説明しろよ。」


そう彼が言うので、あたしは今まであったことを全て語った。
やはり思い出すと、体が震えた。

「だから、1週間、ここに身を隠させてほしい。」

ここは木の葉の外れで誰も足を踏み入れることはないだろうから、しばらくは父にも見つからないはずだ。

「1週間たったら、あたしは木の葉を・・・抜ける。」

サスケは驚いた表情を浮かべた。

あたしは目を伏せ、続ける。
「あの男には今まで苦しめ続けられた。今は無理だけど、でもいつかアイツを殺す。」

あんな愚かな男から逃げ続けるのはごめんだ。

いつか対峙したとき、あたしはあの男を殺す。

あたしは、あんな男を簡単に負かすくらい強くなる。

そう、心に決めた。


「勝手にしろ。」

突き放すような言葉だけど、それが彼なりの優しさなんだと思う。



木の葉に居るのもあと1週間・・・。










[*前へ]

4/4ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!