Evidence 殺意 「お前、だんだんサトコに似てきたなぁ。」 言いながらフジはポケットに手を突っ込む。 「オレは2人を殺しても憎しみは消えなかった。だからあいつらが愛してやまないお前を奪って、そしていつかオレの手で殺してやろうと決めた。」 冷や汗が流れる。 恐怖で体が動いてくれない。 「お前みたいな子供にオレの苦しみが分かるか?」 フジは素早くポケットから何かを取り出し、あたしに向かって投げた。 シュッとクナイが頬をかすめる。 頬にチリっと痛みが走り、ツーと血が流れた。 「お前の親を殺した術でお前を殺してやるよ。」 殺される! こんなやつに殺されたくない! しかし抵抗しても父は上忍。 アカデミーを卒業したばかりのあたしが父にかなうはずがないのだ。 恐怖で体が震える。 それを見た父は不適に笑って 「安心しろ。一瞬ですむ。」 と言った。 逃げないと! 父が印を結び始める。 どうやって逃げようかとぐるぐると思考が渦巻く。 その時。 「ただいま〜。」 母の声がした。 ふと父が気を緩め、声の方に目をやったその時に、あたしは窓を突き破って逃げ出した。 それからは逃げて、逃げて、死ぬもの狂いで逃げた。 もうアパートにも帰れない。父が、いや、あのおぞましい男が追ってくる。 あたしを殺しに。 [*前へ][次へ#] [戻る] |