声、聲、コエ。

《 声、聲、コエ。 》




澪「・・・お兄ちゃん」
雲「何?」
澪「―――小さい頃の話だけど、・・・私が危ない時、何時も、助けに来てくれたよね」
雲「危ない時?」
澪「クラスの男の子にいじめられてたり、とか」
雲「あぁ、うん。そうだね」
澪「何で、私の居場所が判るの?」
雲「さぁ・・・何でかな」
澪「?」
雲「僕も良く判らない。時々、頭の奥の方から澪のコエが聞こえてくるんだ。それを辿っていくと、必ず澪が絡まれてたりしているだけ」
澪「え?」
雲「その事に気付いてからは、澪のコエが聞こえた時は必ずコエを辿る様にしているけど。・・・傑、そう言う事ってあるの」
傑「『遠隔感応』に関しては、他の能力に対して文献の量も資料も少ないからなぁ・・・あり得ないって断言できないし、あり得るとも言い切れない。・・・―――とある一人の人物に対して何かを強く願ったとし、それが元で応報的な交換反応が発生するなら、限りなくあり得る話ではあるが」
雲・澪「「・・・は?」」
傑「いやでも、他人を強く思うだけで能力転移なんて発生するのか? そもそも自分の思考を第三者に伝える能力は『伝達』と呼ばれるもので、それと『遠隔感応』は真逆の能力でしかない。どちらも上級のものではあるのは確かだが、『遠隔感応』が『伝達』の能力も兼ねると仮定するなら、まさか『遠隔感応』とは存在する全ての能力を複合した能力であると?」
雲「・・・傑? ねぇ、聞いてる?」
澪「先生・・・?」
傑「もしそうなら―――『遠隔感応』を完全に完璧に制御できたら、その他存在し得る全ての能力が使えると言うわけだが・・・んな莫迦な。大体『遠隔感応』の能力を隅々まで全て理解し制御できた人間なんて過去一人もいない、初代夜空だって出来なかった事なのに・・・」
澪「・・・。あ、お兄ちゃん、お茶淹れようか?」
雲「・・・そうだね、頼もうかな。傑は放っておこう」
澪「うん」





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