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ときめき距離(碧の鈴:真夜様より)
朝。
日が昇り、辺りが明るくなると同時に、瞼が開いた。

夕べからは野宿で、クラトスは木に背を預け眠っていた。珍しく寝ずの番ではなかったから、ゆっくり眠れた。
冷え込んだが、毛布の中はとても暖かい…


「!」


「クラトス…おはよー…」


クラトスの毛布の中…隣でロイドが目を醒ました。
なぜ一人分の毛布の中に、ロイドが。
入れた覚えもないのに!


「寒かったから入ったんだよ。…そこまで変な顔しなくてもいいだろ…」


「あ、ああ、すまない…」


一一一随分と甘えただな
そんなことを考えながらクラトスは毛布から立ち上がった。


「俺今日食事当番なんだ。 クラトス、一緒に作ろーぜ!
クラトスの好きな物作ろっか!」


これ以上ない笑顔で話しかけるロイド。


(これもまた随分と人懐っこい…)


…今日に始まったことではないのだが。
クラトスがこのパーティに戻って一週間。ロイドはずっとこの調子だった。明るく振る舞っているが、流石にここまで長く続くと空元気に見える。
無理しているのだろうか。
…実は二人が血の繋がった親子だと(ロイドが)知る前、シルヴァラントの旅の時から、互いに相思相愛になり恋に落ちていた。
クラトスは裏切ってしまったのでもう、それをうやむやにしてしまったつもりなのだが
ロイドはきっと、そのことを思い出して、意識しているのかもしれなかった。

あの頃から何も恋人らしいことはしていなかったが。
ただ、互いに想い合っている…それだけだった。




それからもロイドは、戦闘中もクラトスと共に戦ったり、クラトスだけに回復を頼んだり、常に隣を歩いたり。
あからさま過ぎて周りも気をつかってしまう。
ロイドとクラトスに話し掛けられない…援護も出来ない…(ゼロスに至っては、クラトスと同じような戦闘スタイルの為に劣等感)まで感じる始末)。


「俺、そろそろクラトスのハンバーグ食いたい!」


「あ、ああ」


常にキラキラした笑顔で。
ロイドがこの二人の世界を作り上げてしまっているのだ…!!
テセアラ組に至っては、彼のここまでの最高の笑顔を見たことがなかった。そこまでクラトスといるのが楽しいのか。
だがみんな、父親が戻って来たことの喜びで明るいのだと納得していた。




* * *




夜。街についた一行は休憩も兼ね、それぞれ自由行動となった。
ロイドは勿論クラトスと一緒。
ロイドはクラトスの手を引いて、一件の居酒屋へ足を進めた。


「ここにお前が入るのはまだ五年早い」


「大丈夫だよ! お酒頼まなきゃいいんだろ?」


クラトスの制止も聞かずのれんをくぐる。


席につき、やがていくつかの食べ物が運ばれてくる。
ちびちびと水を飲んでいたクラトスだったが…

…お約束。
どさくさに紛れて、ロイドはしっかりお酒を頼んでいて。
しかもアルコール度数が高いようで。酔っている…………。


「…ロイド」


溜息をつき、お酒のグラスを取り上げた。
しかし今取り上げても手遅れ。


「クラトス〜〜…」


顔を真っ赤にしてへらへらしている。
さてクラトスは、ロイドをどうすべきか考えた。
ここで待つか、早々に宿に戻り、寝かせるか。
結果、早く横にさせて寝つかせようという結論を出し、帰ることにした。


「立てるか…?」


クラトスは立ち上がり、座っているロイドの手を取ろうとした。
が、逆にロイドが手を伸ばしてきて、服の裾を引っ張られる。そこに座れという意思表示のように。

ロイドが服を掴んだまま動きそうもないので、仕方なくクラトスは再び腰を降ろした。


「どうした。歩けないのか」


「クラトスは」


顔は赤いままだったが、いつの間にか真剣な表情をしていた。
戦闘の時と違わないくらいに。


「どうした」


流石にクラトスも不思議がらずにはいられない(酔いのせいだとはわかっていたが)。


「クラトスは…
俺のコト、好きって思ってるのか!?」


……。
公の場でそんな話題を、大声で出すものではないのだが…
が、酔っている人には通じない。


「俺はクラトスのこと好きなのに」


「わかったから、落ち着け」


「こんなこと普段聞けないから…
こうやってお酒飲んで酔っ払うしかなかったんらっ!!」


…呂律が回っていない。


「俺は世界さいせーの時からずっとクラトスのこと好きなのに…!!
それなのにクラトスは何とも思ってないのかよー」


ロイドの本音。やはりあの空元気はこういう意味だったのだろう。クラトスに好かれたくて、クラトスの気持ちを見たくて仕方がなかった…。


クラトスは一呼吸おいて気持ちを口にした。


「心配かけてすまなかったな。
私もロイドが好きだ」


「うそくさいぞー」


「…お前こそ、私は敵だった者だ。
それにお前の父親なのだ。
本当にいいのか? こんな私を…好きなどと」


「だからあんなにそっけなかったのかよ…。
でも俺にはそんなの関係ない。俺は前の旅からあんたのことが好きだったんだからさ…」


「…そうか」


互いに想い合っている。
シルヴァラントの旅からは随分経っていたが、気持ちは二人とも変わりなかったようだ。
ロイドは嬉しくて笑った。
すると糸が切れたように、こてん、と首を傾けて突如眠りについた。
酔いが回ったのだろう。


「…仕方がないな」


そう言いながらクラトスはロイドを抱えて立ち上がった。
想いは通じている。
今まで背徳感に圧されて気持ちを押さえてきたが。ロイドは変わらず想ってくれている。
嬉しいのは自分も同じだ。


「なら、もっと私に甘えてくれてもいいぞ。ロイド」




この二人は、晴れて二回目の恋人同士になった。







* * *

「父のことが大好きでたまらない、押せ押せなロイドなクラロイ」
というリクで書かせていただきましたが
大丈夫だろうか!! まだ押しが足りなかったような、ちゃんとリクにそえてるか心配ですが…!!
それになぜにシリアスなんだ!! 甘くしろよな…!!(すみませ…!)

こんなのでよければお納めください! 返品可ですのでっ!!

蓬月さま この度はリクエストありがとうございましたーv


* * *

うっひょぉぉぉっ!
チキンハートを奮い立たせてリクしてよかったっ!
父が大好きだけど、好かれているか不安なロイド君にキュンキュンしますvvvv
真夜様!ありがとうございます!!






あきゅろす。
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