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うららか

雪解け水が流れる小川。草木を揺らし、森を駆け抜ける風。それに乗ってくる花の香り。優しく暖かい日差し。

(絶対この気候のせいだ…)

でなければ、隣にいる男がこんな無防備な姿を外で見せる訳がない。
オレはチラリと隣の男・クラトスを見た。オレの肩に頭を預け、すぅすぅと眠っている。

(昼飯食って、天気もいいからちょっと骨休みしようって言って…)

ジーニアスと一緒にゼロスを川に引きずり込んだり、コレット達から花かんむりを貰ったりして遊んでいた。
そこで、ふと、クラトスの姿が見えない事に気が付いた。クラトスなら一人でも心配いらないんだろうけど、マナを解放した後だったし、気になって探しに来た。そしたら、みんなからちょっと離れた所の木に寄りかかってノイシュ撫でてるし。安心して隣に座って、そのまま少ししゃべって…
相づちがアイマイだなぁ、って思った瞬間、いきなりこっちに倒れ込んで来た時はビビった。本当にぶっ倒れたかと思ったから。でも、その後に聞こえてきたのは安らかな寝息。

そして今に至る。

「やっぱ疲れてんのかな…」

ノイシュを撫でながらそう言ったら、ノイシュも心配そうに「きゅぅん…」って鳴く。やっぱ心配だよな。
今日は早めに街へ行って、宿を探した方がいいかもしれない。
そう思って先生のとこに行こうとして、あっ、と気付く。
今動いたら絶対クラトス起きる。大声で呼ぼうとも思ったけど、それもダメだ。せっかくこんなに気持ち良さそうに寝てるのに、起こすなんて出来ない。

(どうしよう…)

悩むオレの隣からは、規則正しい寝息。風に遊ばれる髪が時々オレの頬に当たって、ちょっとくすぐったい。

(クラトスが起きてからでいいか…)

レアバードに乗れば街へはスグだし、夕方までまだ時間あるし、クラトス気持ち良さそうだし、あったかいし…
色んな言い訳を並べながら、オレもゆっくり目を閉じた。そうすると一気に眠気が襲ってくる。

「おやすみ、クラトス…」

肩にクラトスの重みと温もりを感じながら、オレは意識を手放した。





*************





「先生、どうしましょう…」

「全く…親子揃って困ったものね…」

コレットとリフィルの目に映るのは、暢気にお互いに体を預けて眠るロイドとクラトス。そろそろ出発しようと、二人を探した結果がコレだった。

「でも、起こすのはかわいそうです…」

その位、心地良さそうに眠っている。

「それにしても、クラトスがここまで反応しないなんて…」

少しでも近付けば、直ぐにでも神経を尖らせて警戒するような男だったのに。

(ロイドが側にいるからか、仲間として気を許しているからなのか…)

おそらく、その両方だろう。そうであればいいと、リフィルは二人から離れる。
その後をコレットは追う。

「先生?」

「もう少し寝かせてあげましょ」

リフィルは森を抜けるルートを変更し、レアバードで直接街へ向かう航路を頭に描き、コレットはニコニコしながら、他のメンバーに出発時間が延びた事を報告しに行くのだった。



暖かい風がロイドとクラトスの髪を撫でる。
彼らが目覚めるのは、もう少し後……





END



どんだけ気抜けてるんだ…!
実は父さんはタヌキです、とか言ったらぶち壊しである(おまっ…!)



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あきゅろす。
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