晩夏の恐怖
ロイドとクラトスの部屋に、ゼロスは夕飯を呼びに行った。
ドアをノックして開け、中を見て声をかけ、即行ドアを閉めて、転がるように階段を下りてくる。
「ゼロス!静かになさい!」
あまりの騒々しさに、リフィルは思わず声を荒げた。しかし、ゼロスの青ざめた顔を見て首を傾げる。
「どうかしたの?」
「何?この世の終わりでも見ちゃった?」
ジーニアスが茶化すが、それにすら無反応。流石に何があったのかと、問いたださなければならない。
セイジ姉弟の説得に、ゼロスはゆっくりと口を開いた。
「……こ……」
「こ?」
「恐すぎてコメントに困る…」
「何だよ、それ」
全く意味のわからない発言に、ジーニアス溜め息をこぼす。一体何が恐すぎると言うのか。
当のゼロスは「見てみたらわかるって!」と、相変わらず顔を青くして叫んでいる。
そこまで言われると見てみたくなるというのが人間の性で。ジーニアスは未だ降りてこない二人の部屋のある方へと、視線を投げた。
すると、タイミングよくロイドが二階から降りてくる。
「ゼロス、後ちょっとだから待てって言ったのにー」
「いやいやいや、俺様あの空間にいるなんて無理だから!」
「うるさいぞ、二人とも」
ロイドとゼロスが言い合っていると、クラトスが降りてきて二人を注意する。
するとゼロスはその声に短い悲鳴を上げた。
ジーニアスとリフィルは声も出ず、ただただ口を開けてクラトスを凝視するしか出来ないでいる。
彼らの目の前には、前髪をピンで留め、サイドを三つ編み、後ろ髪をシュシュで縛られたクラトスの姿があった。いつもの無表情で。
「く、く、クラトス…それ…」
ジーニアスはどもりながらも、何とか声を発した。リフィルはまだ口を開けたまま固まり、ゼロスは青い顔をしながら身を引いている。
「いいだろ?俺がやったんだぜ!」
どうだ!と言わんばかりに、ロイドは胸を張る。しかし、それに三人は反応できない。
肯定すればクラトスから絶対零度の視線で睨まれそうだし、否定すれば「息子の技術を愚弄するのか」と裁きの光が落ちてきそうだからだ。
何とも言えない空気が流れる中、それを断ち切る声が響いた。
「わぁ!クラトスさん、キレイですね!」
コレットである。
「似合ってるだろ?」
「うん!あ、もしかしてロイドがやったの?」
和気あいあいと会話に花を咲かせているロイドとコレットの側で、クラトスも表情を柔らかくしている。
(((さ、さすがコレット…)))
ゼロス・ジーニアス・リフィルは、コレットという救世主に大いに感謝した。
「でも急にどしたの?」
「なんか今こういうの流行ってるって聞いてさ。やってみた」
さらっと言うロイドに、コレットはそうなんだと納得し、クラトスは頷き、他の三人は頭をおさえた。
流行っているのはいい。実践するのも構わない。だが、何故その対象がクラトスなのだ。女性メンバーの誰かでいいじゃないか、と思わずにいられない。
結局、後から集まってきたメンバー達もクラトスを見て固まり、夕飯の間微妙な空気が流れ続け、周りからも特異な視線を浴びせられたのは言うまでもなく…
翌日は、朝から更にバージョンアップした髪型で登場し、流石に全員でロイドに止めるよう説得するハメになったとか。
END
何だコレ(おま…)
ロイドはクラトスを綺麗にしたくて
クラトスはロイドと触れ合える時間が嬉しい
結果、ただの子バカ親バカになりました。
あれー?
ついでにイメージ絵も放置していきます。目標は可愛い父さんだったのですが、見事玉砕です。
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