ロイクラの日の親子
「クラトス…」
「どうした?ロイド」
何か悩みでもあるのか。いつになく真剣なロイドの声色に、クラトスは若干身構える。
「…あのさ…」
今一つ歯切れの悪いロイドの言葉をクラトスは待った。
そして、思いもよらない爆弾が投下される。
「オレ、クラトスの中に入ってみたい」
「………は?」
「もうガマン出来ないんだ!1回だけでいいからさ…」
「な、なななな…?!」
「ダメか?」
そう言われて、クラトスは混乱する頭を何とか立て直した。
確かにロイドも年頃の男子だ。成り行きとはいえ、体の関係でロイドが受け入れる側になった事に不満を感じてもおかしくはない。それに、例え逆の立場になってもお互いを愛する気持ちは変わる事はない。
しかし、しかしだ。いきなりの申し出にクラトスは心の準備が出来ていない。
やっぱりダメか?と落ち込んでいくロイドの表情が胸に刺さる。
そして、クラトスは覚悟を決めた。
「…お前が、そうしたいのなら」
「本当か?!」
嬉しそうに顔をほころばせるロイドを見て、クラトスも微笑んだ。
この子が喜んでくれるのなら、こうして笑ってくれるのなら、クラトスは体を息子に差し出すなど些細な事なのだ。
「じゃあさ、早速やろうぜ!」
「い、いきなりか…」
まだ心の準備が出来ていない。
しかし、ロイドはウキウキとクラトスの服を脱がせていく。マントとグローブを取り、ベルトを緩めて上着を脱がしたところで、ロイドも上半身裸になった。
クラトスは「もう、ここまできたら…」と腹をくくった。
だが次の瞬間、ロイドは脱がせたクラトスの上着を着始めた。
どういう事だ?と、クラトスは目を丸くするしかない。
ロイドはクラトスの服に手を通して嬉しそうだ。
「…ロ、ロイド?」
一体何が何なのか。
困惑する父親をよそに、ロイドは「あ、クラトス寒いよな」などと言い、先程着ていた自分の上着をクラトスの肩にかけた。
「ロイド…これは一体…」
「やっぱクラトスはでかいよなぁ…」
肩とか胸元とかガバガバーと、不満げに言いながらも表情は満足そうだ。
そして、くるっと一回転すると、クラトスに微笑みかけて一言。
「オレ in クラトスの服♪」
明らかに勘違いしたであろう父親に、してやったりと言うように、舌を出す事も忘れずに。
直後、クラトスが脱力した事は言うまでもない…
END
ロイクラ…?(聞くな)
ただの父さんいじりになってしまった。
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