P.→←S. 「ロイド、どこかに行くのか?」 ロイドが部屋のドアを開けると、今し方戻ってきたクラトスとかち合った。 「買い物は先程済ませたのではなかったのか?」 手分けして買い物に出たから一緒に行動は出来なかったが、クラトスはロイドが荷物を抱えて宿へと戻る姿を見ていた。 ロイドは、あぁ、と言って手にしていた物を見せる。 それは、1通の手紙。 「出しに行こうと思って」 そして照れくさそうに、へへっ、と笑う。 「そうか。どんな事を書いたのだ?」 「それ言ったら意味ないじゃん」 次の街についた時のお楽しみな、とロイドは手紙で口元を隠す。 その仕草が可愛くてクラトスは軽く目眩を覚えた。 「では私も一緒に行こう」 「本当か?!」 お互い少しでも一緒にいたいから。 クラトスは荷物を部屋に置くとロイドの手を取る。 ロイドはその手を握り返して二人仲睦まじく宿を出る。 「あ、しおりサンキューな」 「あぁ。これで少しは勉強してくれればいいのだが…」 「き、気が向いたら…」 「そう言うと思った」 「むー…」 「何であの二人は一緒に旅してんのに手紙のやりとりしてんのよ…」 二人の会話を聞いていたゼロスがこぼす。 「ロイドの字と国語の勉強だってさ」 ジーニアスが解説をいれる。 もちろんそれが建て前だという事は百も承知だ。 「いっそ交換日記にすればいいんじゃねぇの?」 ゼロスは最もな事を言う。 しかし、すぐさまジーニアスが否定をする。 「そんな事してみなよ。ノートで荷物はかさばるわ、下手したら一日中筆談状態になるの目に見えてるもん」 あぁ…、とゼロスは力無く納得した。 そして同時に思う。 「このままあの二人置いていきてぇ…」 バカップルぶりにお腹いっぱいだ。 それにはジーニアスも賛同したのだった。 END 1周年記念企画作品です。 ひたすら甘いのを目指してみました(そうですか) フリーなのでよろしければお持ち帰り下さい。 ※配布終了しました※ 戻る |