YGO短編
興味の対象 1
「なんか二人とも夫婦みたーい」
マーサに子どもたちが外に遊びにいくからついていてやってくれ、と頼まれた。
別に断る理由なんて無かったから二つ返事で返したわけだけど、子どもたちが急にそんなことを言うもんだから、すっとんきょうな声が出てしまった。
「へ?…な、なんで?」
「だってクロウとリリー、二人だけのとき凄く楽しそうっていうか…。」
なんだそんなことか、とホッと胸を撫で下ろす。
まぁ実際私とクロウは仲がいいっていうか、…付き合ってるし。
もし二人の恋人的な行為を見られていたらどうしようかと、一瞬ものすごく焦ってしまった。
「まぁ仲はいい方だと思うけど…。」
「なーんか私たちが入れない空気作るのよねー。」
「……。」
さすが女の子だなぁと思う。こういう色恋沙汰に関しては年齢など関係なく女の子はするどい。
しかし、参った。当の私は今の今までマーサ以外にはバレてないと思っていたのに。しかもそんな甘い雰囲気なんて、私とクロウの間で醸し出されていたというのか。
「そんで、二人は結婚しないのー?」
なんて爆弾発言を繰り返すんだ、この子たちは。
その二文字だけは心の奥底にしまい続けていたのに。
「さ、さぁ?どうだろー…。」
「ほらな!やっぱ二人とも付き合ってんだってば。」
「…。」
カマをかけられた。
どうやら私とクロウが付き合っているのではないか、ということが子ども達の間で話し合われていたらしい。
これはどういう反応をするのが、ベストなんだろうか。
前を歩く子ども達の視線が白状しろと促してくる。
そんな板挟みの状態の時だった。
男の子があっと声をあげた。
「クロウみーっけ!」
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