YGO短編
彼との関係…
「………な、な…」
なんで?
私は“家族”なんでしょ
なんで私をだきしめてるの
なんでクロウも真っ赤なの
なんで…クロウのほうが驚いてるの…
目の前の彼はハッとしたかと思うとより一層顔を赤くした。
「なんで…私、クロウにとって家族なんじゃ……。」
「わりぃ!リリーにこんなことするなんて…!」
パッと両手をはなし、どうしちまったんだ俺は!とあたふたするクロウ。
なんでクロウの方が慌ててるんだろう、と不思議に思いつい笑みがこぼれてしまう。
「ほんとひどいなぁ…もう。」
「す、すまねぇ…!」
「いつも期待させるだけなんて、ずるい。」
「……?」
また期待してしまった。期待したって無駄なのに…。
胸が痛む。
でも、今だから思い切って言える気がした。
「クロウ…私、クロウのこと好きだよ。大好き。笑った顔とかいつも見入っちゃうし、デュエルしてる時のキラキラしたクロウも勿論好き。」
「な…」
「クロウが私のこと“家族”だと思ってること、わかってる。でもやっぱり言いたかった。困らせてごめん。」
今度こそ、帰ろう。
泣きそうなとこなんて見られたくない。
彼に気づかれたくなくて、少し距離をとる。
「……好きだ。」
「…わかってるよ。家族としてでしょ。」
立ち直れるかぁ。
マーサに心配かけたくないなぁ…。
「違ぇ!」
「え…」
クロウのまっすぐな眼差しが私を見ていた。
どうしていいのかわからず、半歩後ろに出した足が動かない。
「アイツらの前ではカッコつけちまったけどよ…。リリー、俺はお前が好きだ…!!」
「うそ……」
「嘘でこんなこと言えねぇよ。本気だ。」
彼は顔を真っ赤にしつつも、真剣な面持ちで言葉を放つ。
「えっ、どうしようどうしよう…!嬉しいけど、どうしたらいいの!?」
今度は私があたふたしてしまっていた。それを見たクロウはヘへッと笑う。
「こうすればいいと思うぜ。」
そう言って彼は私を包むように抱きしめる。
私もそれに倣うように、ぎこちないながらも彼の背中に腕を回す。
ねぇクロウ、
私幸せすぎてどうにかなりそうよ。
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