YGO短編 彼との関係 B ************* 「こんなとこにいたのかよ、リリー。」 そう呼び掛ければ、少し驚いた様子で振り返る幼なじみ。 「マーサのとこにいねぇから心配しちまったじゃねーか。」 そう言うとリリーはハッとしてごめん、と言う。 別に怒ってた訳じゃねーけど大事な用事がない限り、大抵家から出ないリリーが喫茶店の横で突っ立ってたことに違和感を覚えた。 家から出ないとはいっても忙しくないわけじゃない。 リリーは昔からガキ共の世話を進んでかってでてくれる。だから俺は安心して外に出れるんだ。 「別に怒っちゃいねーよ。なんかあったのか?リリーが特に用事もなく、出かけるとは思えねぇんだけど。」 「う、うん…まぁ無いわけじゃないけど……。」 何となく腑に落ちない言い方をされた。 ここに来る前に、ちらっと見えたジャックの姿が頭をよぎる。 そういえば、この喫茶店だってよくアイツが居座ってるとこだ。 ジャック(アイツ)には話せて、俺には話しにくい用事ってことか? 「…俺に話したくねぇならそれでもいいけどよ、マーサには言っとけよ。」 言った後に、自分の語気が強まっていることに気がついた。 少し投げやりな言い方しちまった。 「うん…ごめん。今から帰るね。」 うつむく彼女に罪悪感が芽生える。 こんな顔をさせたかったわけじゃねぇ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |