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YGO短編
俺たちのハロウィン※ 5

※下ネタ注意






行きと同じ帰り道。
しかし、私達の間の空気は行きよりも随分軽やかに感じる。


「今日は驚きの連続だったね。」


「あんなサプライズはもう懲り懲りだけどな。」


「そうだね…。」


衝撃的なことがあって私自身、動揺が隠せない部分があったけど少しだけいいこともあった。
腕に持っている紙袋の中身をみる。ディスク表面に“ファンタジック・ズー”の絵柄がプリントされた本物のDVDだ。
帰る直前に彼らが受け取ってほしい、と言って差し出してきたのだ。
今度クロウと一緒に見たいな、なんて密かにニヤニヤしているとクロウがまだ帰路の途中であるにも関わらず、スピードを落として停車した。
何かあったのかと思い、声をかける。


「どうしたの、クロウ?」


クロウはDホイールから降りて、私と目を合わせる。
メットをとった彼は一見いつも通りのようでも、どこか寂しそうな空気を纏わせていた。
私はメットをとって、彼の言葉を待つ。


「リリー、ホントに無理してねぇか?」


無理して明るく努めているのではないかと不安そうな彼の瞳がゆらぐ。
どうやら想像以上に彼に心配をかけていたようだ。

「今回リリーには、男のしょうもねぇ部分見せちまったしよ、俺一人の被害だったらまだ笑って済ませられる。けど……。」


街灯で照らされた彼の表情は、苦虫を噛んだようだった。
彼は優しい人だから、今回のことで私が傷ついているのではないかと心配してくれている。
確かに衝撃は凄かった。自分の好きな映画が見られるという期待をもって再生してみれば、そこに映ったのは艶かしい男女の様子。
半分パニックのような状況で電源をきったものだ、と遠い昔のことのように思い出す。


「確かにびっくりした。でも私はクロウの言う“男のしょうもない部分”が見れてよかったよ。」


クロウは見られたくない部分だったかもしれない。
でも私は彼のそんな一面も見たいのだ。カッコ悪い、情けない、恥ずかしい。何であろうとそれが彼に関わる一面であるならば私は知りたい。


「そうか…。でももし嫌だと思ったら言ってくれ。」


リリーは無理するときがあるからな、と言って私の頬を撫でるように触れる。
彼の優しさがくすぐったくて、つい笑みが溢れる。
もう少し、この時間を手放したくなくて彼が伸ばしていた手に唇を落とした。


「こんなことじゃ嫌にならないよ、クロウ。」


彼の手はぴくりと反応して、私の頬から下へすぅっとなぞるように動き、顎を持ち上げた。
自然と視線が重なり、彼の熱を湛えた瞳は私を捕らえて離さない。

「…リリー」


唇と唇が触れる。
強く、しかし優しいキスに頭がふわふわした感覚に陥る。


「好きだ。」


私も、と答えれば彼は少し照れくさそうに微笑んだ。




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あきゅろす。
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