SK短編
distance 〜2〜
私はここでやっと彼の方に振り向いた。
彼は赤橙色の着物を身に纏い、校舎の柵にもたれ掛っていた。良く見ると、それには紅葉などの柄があしらってある。
「じゃあ…、
今私が考えてることもわかる?」
彼は閉じていた目を開き、瞳に私の姿を映した。
少しの驚きと、意外だと言わんばかりの目をして。
「……。」
今度はハオが閉口する番となった。
ハオがシャーマンキングになる前、人の心は彼の意志に関係なく彼の心に流れていた。
最初からこちら側の言わんとすることがわかっているため、驚くことなんてほとんどなかった。
だから今は、こうやって話すことがちょっぴり新鮮だったりするのだ。
これはきっと、彼の感じる新鮮さとはまた違う感覚。
首元に感じる空気が、さっきよりも冷たく感じる。
「私が考えていることはね、一受験生の面倒を見ているほどの暇がない人が、こうやって会いに来てくれて嬉しいなって。」
思わず、頬が緩むのを抑えきれない。
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