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SK短編
distance 〜1〜


「…はぁ。」


やはり屋上に来ると気持ちがいい。
この空は溜まったものを吐き出させてくれる。

人間が自然におこすアクションには本能的に体の負担を軽減していることが多い。
息を空気中に吐き出すこともその一つである。

それは逆に取れば体に負担がかかっているわけなのだが、これは学生の運命ともいうものが要因だ。





「随分と大きなため息だね。」




ふと、後ろから聴きなれた声がした。


振り向かずとも、誰なのかはわかっている。



「シャーマンキングって全知全能なんだって?」


風が髪を撫で、私の頬をくすぐる。


「悪いけど、一(いち)受験生の面倒を見ているほど、僕も暇じゃなくてね。」


「……。」


「心を読まなくても、君の言わんとすることはすぐにわかるさ。」




どこか自慢気なトーンで言う彼と私の距離は変わらない。

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あきゅろす。
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