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「戦人おま・・・・え」
朱志香が口元を押さえて後ずさる。
「違う・・・落ち着け・・・いいか落ち着いて俺の話を聞くんだ朱志香」
戦人はやけに自分の口内が乾いていくのを感じる。
頭はがんがんと先程から痛みを告げて鳴り響いていた。
「いや、言い訳なんて聞きたくないぜ・・!!」
「なんじゃ・・・うるさいの・・・」
「うー・・戦人うるさいー」
真里亞がパジャマ姿で戦人のベッドの上から声をかける。
それだけなら添い寝ともいいわけ出来るのだが。
しかしのそりとベッドからするりと細く白い肢体が伸びた所で如何なる言い訳ももう無理だと戦人は悟った。
それは朱志香も同じ。
起き上がった女性に見覚えはないがその姿は裸だったりした。
「これを!!どうやって!!誤解するなっていうんだ!!!!」
絶叫にも似た響きが屋敷を震わす。
慌て朱志香の口を手で塞いだが一体どれだけの効果があったというのだろうか。
暴れる朱志香をとりあえず部屋の中に入れて鍵をかける。
「次は私かよ!!」
「俺はお前の乳にしか興味ねぇええええ!!」
「余計最低じゃねぇええかあああ!!!」
朱志香の拳が戦人の腹部にめり込む。
「ぐっ!!」と呻きながら腹を押さえて地面と熱いキスをする戦人を放って朱志香は扉を開けて出て行く。
誰かに知られたら大変だと戦人が追いかけようとしたならば鍵が勝手に掛かり魔女の君の悪い笑いが聞こえる。
「何を慌てる。真実ではないか」
「そりゃ真実だろうな!!俺が何もしてないって事を除けばな!!!!」
黄金の魔女は喉奥で笑って戦人に手を伸ばしその体をベッドに引き込み押し倒す。
「何もしていないのに疑われるのは辛いのぉ。なら何かを特別に許可をしてやろうか???」
体制が逆ですベアトリーチェ様、戦人は思わず叫びそうになるのを堪えてから重い溜息をついた。
「真里亞、あのお守り貸してくれないか」
「うー?」
真里亞はのそのそと起き上がり鞄の中から蠍のブレスレッドを取り出し首を横に傾ける。これであっているのかという確認らしい。
それを見てベアトリーチェはびくりと体を震わせた。
「こら、真里亞、お主はどちらの味方なのじゃ」
「うー・・ベアトが約束通り魔方陣の書き方教えてくれたらしまうよ」
「いっひっひ・・・そうだそうだ、先に先約との約束を果たせよ。それで真里亞まで此処でまってたんだろうが」
出てけ出てけ、手で合図をしながら戦人は意地悪く笑う。
暫く悩んだ後でようやく組み敷いていた戦人の上からどく。
ベアトリーチェは「客室でまっておるぞ」と小さく言い服を着こんで扉から出て行った。
ようやく安堵の息をついた戦人は真里亞の頭を撫でて「助かったよ」と立ち上がった。
その際に足を滑らせ真里亞の上に倒れこんでしまう。
「わ、すまねぇ真里亞、大丈夫か・・・・」
「うー痛い・・・・」
「いまどくから少しまって・・・・」
扉が再びがちゃりと開く。
そこに立っていたのは酷く穏やかな顔をした楼座伯母さん。
戦人の記憶の中でいつも優しく穏やかな笑みを崩さない楼座伯母さん。
しかし手にはライフル銃。
改めて自分の体制を見る。押し倒された幼女真里亞9才パジャマ姿。
倒れてしまったさいに肌が見えていて手がそこにあたっている。
上にのっかる自分青春まっさかり色々元気な男の子。
「その綺麗な顔に鉛球を十分に食らわしてやるよぉおおおおお・・・・!!!!!!」
優しく穏やかな笑みを崩さない楼座伯母さんががちゃりとライフルを向けた次の瞬間に戦人はあの魔女の笑い声を聞いた気がした。