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novel
彼らしからぬ日
※アヤナミ様はカッコよくて鬼畜な御方!それ以外は許せない!という方は観ないで下さい。
激しくギャグです!↓







「あ〜やたん!」
「……。」
「ねぇねぇ、あやたんってば!」
「………。」
「あやたんあやたんあや、ビシィッ「五月蝿いぞ、ヒュウガ。」ぐはぁ!」

ーーーーーー

「んもー、酷いよあやたん。いきなり打つなんて〜。」

アヤナミの鞭に打たれ、腫れ上がった
頬を押さえながら、それでも大して堪えた様子は見せずに
飄々とした様子で
ヒュウガは余計な事を言った。
「あやたんさ〜、いつもそんな無表情でさ、ちゃんと表情筋使わないと、早く老け込んじゃうよ?」
「………。」
その言葉に、全くの無反応であったアヤナミの肩が、ぴくりと動き反応を見せた事等気付かず、ヒュウガは更に話しを続ける。

「唯でさえ、テイト君と年離れまくってるのに、コレであやたんが早く老けこんじゃったら、十年後とかホンッと悲惨………って、あれ?………………あや…たん?(汗)」

「………………。」
そこで漸く自分の失言に気付き、滝の様な冷や汗を流すヒュウガを
アヤナミの鞭による、強烈な一撃が容赦無く襲った。




ーーーーーーーーーホーブルグ要塞の廊下を、軍靴の足音を高く響かせ進みながら
アヤナミは、先程のヒュウガの(失礼且つ余計な)言葉の数々を思い返していた。
ーーー確かに、自分とテイトは若干…
いや、かなり年が離れている。なんせ一回り以上も差があるのだ。
それに、アヤナミは自身が滅多に表情を変えないーー無表情な男である事も承知していた。

ーーー『あやたんさ〜、いつもそんな無表情でさ、ちゃんと表情筋使わないと、早く老け込んじゃうよ?』

ーーーーピシィッ。そこまで思考を辿った所で、ヒュウガの余計な言葉を思い出してしまい、アヤナミの機嫌は更に輪を掛けて悪くなった。
どす黒い不機嫌オーラを垂れ流すアヤナミに、廊下にいる兵士達は皆、恐れおののき蜘蛛の子を散らす様にアヤナミの視界から消えていった。

誰一人居なくなった静かな廊下を、気にする事など全く無くずかずかと進んで行くと、給湯室から若い女性仕官のものであろう話し声が聞こえて来た。
普段であれば、そんなものに気を留める事など有り得ないアヤナミだが、今日ばかりは訳が違った。「私の恋人、13歳上なんだけどさ〜、話ししてても、全っ然会話が噛み合わないのよね〜。」
「あー、それはね。確かに。歳が離れてるとどーしてもねぇ。」

………ぴくっ。
思わず体が反応し、聞き耳をたててしまう。
「しかもさ〜、」
「ん?」
「彼、今35なんだけど……なんか、最近……あれよ、あれ!…加齢臭っていうの?なんかベットで一緒に寝た後の、寝具が……ちょっと、ね。」
「あははっ!三十代でそれってまずいんじゃない?」

…………!!!

アヤナミは、その身に落雷を受けたかのような衝撃に見舞われた。
……加齢臭…だと!?
そんな事には、全く考えが及んでいなかった。

……………加齢臭、確か、不飽和アルデヒドのノネナールが原因物質で、通常は四十代から発生する…だったか?
……バカな。私は何を下らない事を思案しているのだ。
私はまだ三十代だぞ。…有り得ぬ。

ーーー『でも後十年後とかホンッと悲惨…』

…………………………………十年後…。
よくよく考えてみれば、その時テイトはまだ25歳だが、私は確実に四十代だ。

……………………………………………………下らん!

愚かな、私としたことが…。


頭を軽く振って、無理矢理に思考を停止した所で周囲の様相が変わっていることに漸く気付いた。
ーーどうやら自分は無意識のうちに給湯室を離れ、考えこんだまま要塞内を歩き廻っていたらしい。一つ息を吐き、前方に視線を据えると
帝国陸軍仕官学校のミロク理事長が、己の部下を従え回廊の向こうから此方にやって来た。

「おぉ、アヤナミ君。丁度良かった。内容を調整したい案件があってだね。少し話をしたいと思っていたのだよ。
…時間はあるかね?」
自分でもやや混乱気味の思考をもて余していたアヤナミは、ミロクの申し出を有りがたく受ける事にした。
「はい、大丈夫です。では、ミロク様、第二会議室が空いておりますので、そちらへ。」




ーーーーーーーーー

ーーー結局、ミロクとの会談は終業時刻間際まで続き、
アヤナミが参謀部執務室に戻った時には、執務室内には、自分の帰還を待っていたであろう己のベグライターが居るのみだった。

「あっ!アヤナミ様、おかえりなさい!」
自分の姿を見て、嬉しそうに駆け寄って来るテイトを愛しく思いながら、寄ってきた小柄な躰を抱き締める。
すると、テイトはふにゃりと頬を緩め、すりすりと顔を寄せて、甘えてきた。

その事に気を良くし、華奢な躰を抱き上げて 笑みに綻ぶ唇に、口付けようと顔を寄せたーーーその時だった。
「あっ!」
腕の中でぴくりと躰を跳ねさせたテイトが、瞠目し、ぱちぱちと瞬きしながら、不思議そうな面持ちでじぃっと此方を凝視してくる。
そんな顔も可愛らしいので、暫く好きにさせていると
やがて納得がいったのか、一つ頷き、ぱぁっと顔を輝かせてーーー
「アヤナミ様!」
ぎゅう、と首に細腕を回して抱き着いてきた。

「どうしたのだ?」躰を抱え直し、背中を撫でてやりながら続きを促す。

「アヤナミ様、…ミロク様と、おんなじ香りがします!∨」


……………………………………………………………ーーー!!!???

(ばっ………バカなっ!!ミロク様と……………おな…じ……だと!?)

ーーーー
勿論、この時テイトが指した〈匂い〉とは、体臭の事では無く ミロクとの会談中に移った
彼の愛用する、葉巻の薫りの事だったのだが、アヤナミの明晰な頭脳は、今日この時に限って見事に空回りしてしまった。

ーーーかつて無い程の凄まじい衝撃と共に、アヤナミはこの後、何らかの対策を講じようと心に誓った。

ーーーーーーー
翌日、机の上にひっそりと置かれていた抗加齢対策の書籍を見つけ、爆笑していたヒュウガが、アヤナミによって凄まじい私刑に処され
参謀部執務に屍が一つ、転がる事となった。


end

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