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novel
困った上官(アヤテイ+ヒュウコナ)
「ヒュウガ少佐!いい加減、仕事して下さい!」

参謀部執務室内に響き渡る様な大声でコナツは注意するのだが、当のヒュウガは積み上げられた書類の上に行儀悪く顎を乗せ、空いた両手で器用に折り紙を折っている――
ヒュウガのサインが必要な重要書類で…。


(あ〜もう、ホント何なんだ!?)
コナツは内心困惑していた。
確かにヒュウガはいつも進んで仕事をしない。だが、

…何時もはそんなヒュウガに(実際に)鞭を打ち付け、(強制的に)仕事をさせるアヤナミが、今日は何故か、其を黙認しているのだ。
しかもそのアヤナミの書類処理速度も、普段の其に比べて格段に遅いのだ…まるでわざと書類を溜め込んでいる様に見受けられる程。―――そんなアヤナミの様子に、テイトも困惑しているらしく、
先程から、伺う様な視線をちらちらとアヤナミに向けている。

アヤナミは、テイトの怪訝な視線に気付いている筈なのだが、一向に反応を示さず、無視し続けている。
その態度が更にテイトを混乱させているらしく、
今やテイト自身も、全く仕事が手につかない状態である。

(アヤナミ様、どうしたんだろ…オレ、何か失敗…して、…怒らせちゃったのかな…?)
ちらりとアヤナミに視線を送るも完全無視である。
(…アヤナミ様…こっちを見てもくれない……やっぱり何か怒ってるんだ!どうしよ……あっ、呆れられた…かも…ぅう…。)
アヤナミがこんな態度を取る原因を考えれば考える程に、嫌な予想ばかりがテイトの脳内を満たし、深みに嵌まっていく。
(アヤナミ様に嫌われたら…オレっ…)――じんわりと涙が染み出でてきた時―
「少佐!ホントに怒りますよ!離して下さい!」
(こ…コナツさん!)
顔を真っ赤に染め上げ、腰に巻き付いたヒュウガの腕をなんとか引き剥がそうと躍起になっているコナツの姿が目に入った。

コナツの方も、テイトの視線を感じたのだろう、この状況をどうするべきかと、テイトの方に視線で問い掛けてきた。
だが、勿論テイトにこの状況を打破する妙案など浮かんでこない為、同じ困惑した視線をコナツに返してやることしかできない。

掛け時計に視線を遣ると、丁度昼休憩の十分前。
―――今からどんなに急いでも、間に合わないなとコナツとテイトが嘆息しかけた時――――
「コナツ―。」
「!はい、」
「…テイト。」
「はい!」
依然としてコナツの腰に抱き着いたままのヒュウガが、
やけにニッコリとした笑顔で。
常に無い異例の(遅い)速度で、執務に励んでいたアヤナミが、淡々と。
「「此処まで書類が残っている以上、昼休憩は無しだな(ね―)。」」

………執務室内に微妙な沈黙が落ちた。「はぁ…そうですね…。」(まったく、この人はっあんたが原因なんじゃないですか!)
「この書類を放置して、休憩するわけには…。」(…アヤナミ様、さっきからホント、どうしたんだろ…?)
二人がいぶかしみながら返事をすれば、満面の笑みをたたえたヒュウガと、
口許を、笑みの形に歪めたアヤナミが、二人同時に口を開いた。
「「だから(さー)テイト(コナツ)、私(オレ)と共(一緒)に、この執務室で昼食(お昼ご飯)を取らないか(食べよ)?」」

………
「…少佐?」
「うん?どしたの?コナツ。ね―、食べにいく時間もったいないでしょ?此処で一緒しよ―よ〜∨(食堂行くとオーク元帥のバカ息子がコナツに付きまとってウザいし∨)」
「…アヤナミ様?」「どうした、テイト。…時間が無いからといって、食事を抜くわけにはいくまい。……此処で食べていけ。(食堂に行けば、またあのミカゲとかいう小僧がテイトに付きまとって鬱陶しいしな…。)」

なんとなく、二人の上官の考えている事が解った気がするが、出来れば的中して欲しく無い。
…かといって、このまま放置する事も出来ず、テイトとコナツは意を決して己の上官に問い掛けた。「あの、少佐。まさかこの為に、さっきから仕事、サボってらしたんですか?」「アヤナミ様。今日の執務態度がおかしかったのって…あの、……この為に?」
――――二人の上官は(こんな時だけ)息の合った所作で
同時に頷いた。

「「勿論(だ)。」」

―――その後、参謀部執務室で、仲良く(?)昼食を摂る四人の姿が目撃され、その話を聞いて悔しがる、二人の少年がいた。


end



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