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novel
参謀長官様は過保護(アヤテイ+ヒュウ)


「ん…?何だ、これ。」

士官学校時代の同期生であり、軍に入隊してからも親友として付き合いのあるミカゲから手渡された一枚の用紙に目を落としながら、テイトは己の親友に問い掛けた。

「何って―…、だから、懇親会だよ!普段部署違いの奴と親しくなる機会なんか無いだろ?……ま、若手同士、この機にお互いの事を理解しあって、結束を深めろ〜的なさぁ。」

「……………。」

正直なところ、テイトは懇親会に等興味が無かったし、参加する気も毛頭無かった。
だが――

「良い機会だしさ〜、勿論テイトも参加するよな!?」

…………
笑顔でそう訊ねてくる親友に、否と返す事などテイトには出来ないのであった。


―――――――
「………懇親会…?」

執務椅子に優雅に腰掛け、書類を捌いていた上官――アヤナミは、テイトの言葉にピタリとその手を止め、眉間に皺を寄せながらも先を促した。

「ぇっ…と、あのですね、他部署の人間との親睦を深めるのが目的だとかで、若手も大勢参加してるから、お前も来いって………み…ミカゲが……。」

話をするうちに深くなっていく眼前の上官の眉間の溝と、機嫌の下降具合にテイトは狼狽えつつ、なんとか説明を重ねていく。

「まぁまぁ、良いじゃんアヤたん。行かせてあげれば?」

「!?ヒュウガ少佐…!」

むっつりと黙り込んでしまったアヤナミにテイトが困り果てていた所に、天の助けとばかりにヒュウガが口出ししてきた。


「その懇親会ってさ、三日後でしょ?どうせ急ぎの仕事も無いんだしさ。テイト君、普段お仕事頑張ってるんだし
「貴様と違ってな。」
……う、痛いお言葉。……ってとにかくさぁ、許可してあげれば良いじゃん。」
「………。」

依然、黙り込んだままのアヤナミに、テイトはこれ以上頼んでも無駄だと察して懇親会には行かない旨の言葉を口にしようとした。

「アヤナミ様、オレ、やっぱり…
「…許可する。」
……え?」

己の上官から放たれた思いがけない言葉に瞳を丸くさせて呆けていると、再度、アヤナミの口から言葉が放たれる。

「懇親会だ。…出席を許可する。……行ってこい。」

「いっ…良いんですか……?」

今の状況が信じられず、確認する様に問い返せば

「ヒュウガの言う事にも一理有るからな。」

と、珍しくも嘆息しながらアヤナミが呟きを零した。




―――――



テイトが嬉しそうに顔を笑みに綻ばせながら退出した執務室には、アヤナミとヒュウガの二人が残された。

「…アヤたん、過保護すぎじゃない?」
「…………。」

「だ〜いじょうぶだって、ただの懇親会でしょ?」

「……………。」

「それにさぁ、ブラックホーク全員的に回すと解っていて、それでもテイト君に手を出そうなんて勇者、そうそう居ないと思うけどね。」

「……………ヒュウガ。」

「………何?」

「特別任務を命じる。……懇親会の間、近づいて来る害虫共からテイトを守れ。」

「…………了解…。」

心配だから行ってくれるなと、素直に言えない上官に、ヒュウガは苦笑するしかなかった。

(アヤたんってば、ほんっと過保護すぎ。)

end

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