novel
危ない大人と無垢な子ども(三萬打企画テイト幼児化)
早朝。
時刻は午前5時丁度。
朝靄が立ちこめる中、静寂に包まれていたホーブルグ要塞に凄まじい悲鳴が響き渡った。
ーーーーーーー
「テイト君!」
「テイト!」
悲鳴を聞いたヒュウガとコナツが扉を蹴破り中に入ると
「………ふぇ…、ヒュウガ少佐ぁ…、コナツさぁん……。」
「「…………えっ!?」」
そこには、五才児位の姿になった我等が参謀部のアイドルーーーテイト=クラインが居た。
ーーーーーーー
「〜とまぁそういう訳でさ〜、テイト君がこうなっちゃった原因は不明なんだよね〜…」
「………ほう。」
あははと能天気に笑うヒュウガの正面に座って報告を聞いているアヤナミは、完全な無表情である。
そしてそんなアヤナミを、組まれた膝の上に座らせられたテイトが、びくびくしながら見上げている。
「あ〜っ、アヤたん。そんな怖い顔しないでよ〜〜、テイト君、怖がってるじゃん!」
そんなテイトに気付いたヒュウガが、言葉と共にアヤナミの膝からテイトを抱き上げ、己の胸に凭れさせる様にして、小さな躯をおさめると、急に高くなった視界に驚いたテイトが、可愛らしい小さな掌でヒュウガの軍服をきゅう、と掴んだ。
それを見たアヤナミが、何処か面白くなさそうな憮然とした表情をし、
対象的にヒュウガの方は、ニコニコと
だらしなく笑みに崩れた顔を晒す。
「なになに?アヤたん。羨ましいの〜?」
「………黙れ。」
満面の笑みで問い掛けてくるヒュウガにアヤナミの機嫌は急下降していく。
室内に険悪な空気が流れ出した頃
そんな二人を見かねたコナツとカツラギが、とりなす様に割って入った。
「まぁ、お二人共、その辺にしておかないと……テイト君が困っていますよ?」
「カツラギ大佐の仰る通りですっ!ほら!少佐、テイト此方に渡して下さい!」
「あぁっ!ちょ、コナツ〜!」
己の腕からテイトを奪われ、悲しそうな顔をするヒュウガに「自業自得です。」と、冷たく言い放ち、コナツはテイトを片腕でしっかり抱き留めつつ、もう片方の掌で小さな頭を優しく撫でた。
「よしよし、もう大丈夫だからな。」
「…んっ。はい!」
頭を撫でられてテイトも嬉しそうに笑っている。
ーーーそして、
そんな光景を見せ付けられて大変不愉快な思いをしているのは、ブラックホークの長。
帝国陸軍参謀長官アヤナミである。
アヤナミは眉間に皺を寄せたまま、今だコナツの腕の中にいる己のベグライターに声を掛けた。
「ーテイト、…此方に来い。」
しかし、アヤナミの怒気が恐ろしいのかテイトは此方にやって来る処かコナツの元で怯え、ふるふると躯を震わせている。
大きな翡翠の瞳には薄く涙の膜が張り、その瞳を潤ませている。
そんな幼いテイトの様子に、自身の裡からむくむくと嗜虐心と庇護欲が頭をもたげて来るのをアヤナミは自覚した。
(……啼かせてみたいな…。)
今すぐにテイトを組み敷き、瑞々しく潤っている幼い柔肌を暴きたい等と鉄面皮の下で不埒な事を考えていると、ヒュウガが顔に笑みを貼り付けつつ聞いてきた。
「なぁにアヤたん。今なーんかやらしい事考えてなかった?」
「………さぁな。」
しれっと嘯いてコナツの腕からテイトを奪い返す。
腕に温かな重みが加わり心地良い。
「アヤナミさまぁ…。」
一生懸命首を仰向け此方を見上げてくるテイトを見ていると、悪戯を仕掛けてやろう等と思っていられるはずも無く、
仕方無く今日は小さな恋人を甘やかすだけに留めようと決心して、アヤナミは滑らかな頬に口接けを落とした。
end
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