novel
萌えポイント
筆記具と、書類を捲る音しか聴こえない参謀部執務室。
テイトは必要書類の仕分けをしながら 落ち着かない心地で己の上官であるアヤナミを盗み見た。
ちらり、と視線を遣って、即座に顔を逸らして耳まで真っ赤にして顔を俯ける。
(〜アヤナミ様、格好良い…///)
視線の先、長官席に着き、執務をこなすアヤナミは
ーーー眼鏡を掛けていた。
シルバーフレームの細身のそれは、アヤナミの端整な顔立ちにとても良く似合っている。
理知的な面が強調されていて、きっちり着込んだ軍服と合わせて禁欲的な雰囲気を漂わせたアヤナミはテイトの心拍数を上昇させるのには十分だった。
「……何か不備でも有ったのか…?テイト。」
声を掛けられ、はっとする。
どうやら、気付かれていたらしい。
アヤナミは席をたち此方までやって来た。
そして、ーー机に手を着き、テイトを腕の中に閉じ込めるように後ろから椅子毎抱き込み低く囁く。
「……ずいぶんと熱心な視線を感じていたのだがーー
……私の顔が、どうかしたか…?」
耳元で、流し込むように吐かれて
テイトは背筋が震えるのを感じた。
慌てて言葉を次ごうとするが、変に緊張してしまって上手くいかない。
「えっ、ぁ…その……ぇと……」
「…ん?、どうした。……答えになっていないぞ、テイト。」
そんなテイトの反応に、
アヤナミは
くっ、と咽の奥で笑いつつ、耳元にあてがった唇をじりじりと滑らせ、軍服の詰襟を外して日に焼けていない白い肌を露出させるとほっそりとした首筋に口接けた。
「…やっ…!」
わざと音を立てて吸い上げてやれば、
その音に羞恥を煽られたテイトは瞳を潤ませ、アヤナミの腕から逃れようと身を捩る。
けれども、逞しい腕によってそれも叶わず頬を紅く染めながら助けを求めるように濡れた翡翠でアヤナミを見つめた。
「〜〜アヤナミ様………」
熱に熟れた瞳の淵には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだ。
(ーーーこれ以上苛めては、本気で泣き出しかねないな…。)
アヤナミは苦笑を浮かべて
見上げてくる翡翠の眦に口接け、溢れそうになっていた涙を吸い取ってやった。
ーーーーーーーーーーーー
「………そんなに、これが気になるのか…?」
一通り、テイトをあやし終えた後で、
細身のそれに手を掛け、外しながら問いかけてやると
腕の中の幼い補佐官は、再び頬を真っ赤に染め上げ可愛らしくこくり、と頷いた。
「………その、良く似合ってらして…
す…素敵……でした。///」
ーーーー。
これからは、眼鏡を掛ける頻繁をもっと増やそうーーー…。
参謀長官殿は、そう堅く決意した。
end
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