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novel
氷菓子よりも甘く(五千打記念小説アヤテイ甘甘)
ホーブルグ要塞内にある数少ない憩いの場、中庭。
初夏の陽射しが青々と繁った芝生に降り注いでいる
その中央に据えられた白いベンチに腰掛けて
テイトは瞳をキラキラさせながら、両手に持ったバニラソフトを頬張っていた。
「あー、冷たい!でもうまい!」
舌の上で蕩ける濃厚な甘味に夢中になっていると、いきなり背後から声を掛けられテイトは跳び上がらんばかりに驚いた。

「…テイト。」
「!!……ぅ、けほっ…………あっアヤナミ様っ!?」
軽く噎せながら振り向くと、直属の上司に当たるアヤナミが薄く口元に笑みを浮かべて此方を見ている。
(……子供っぽいって…思われたかな!?……恥ずかしい///)
先程までの自分を思いだし、何となく気恥ずかしさを感じてしまい
顔を俯けると、頭上からアヤナミに
自分も座って良いかと訊かれ、真ん中に陣取っていたテイトは横に詰めて場所を渡した。

だが、
「そんなに端に寄らなくとも良い。」
言葉と共に空いていた距離を詰められ、お互いの肩が触れ合うかどうかといった所でアヤナミの視線がテイトの持っているバニラソフトに注がれた。

「…美味そうだな。」
ふっと柔らかく微笑まれ、頬が熱くなる。
「あっ…あの、………ええっと……そ、そうですか?」
しどろもどろになりながら返事をすると長い指に顎を捕らわれ、口元に舌を這わされた。
「ひゃっ…!///」
ねっとりと舐め上げられる感覚に驚き、躯をぴくりと跳ねさせてしまう。
「……付いていたぞ?」
その反応を観て、くっくっ、と咽を震わせ低く笑うアヤナミにますます恥ずかしさが募っていく。

「テイト…溶けているぞ。」
「えっ…!?あ、」指摘されて手元を見れば、溶けたアイスがコーンから溢れて指先を濡らそうとしている。
慌てて舐めとろうとするが間に合わず
白い雫がつぅ、と指先を伝ってゆく。
それをもったいなく思いながら、ハンカチで拭おうとテイトがポケットに手を伸ばした時ーーー
「ぅひゃぁっ!?」ぬるりと湿ったーーー覚えのある感触が指先から手の甲迄を這っていく。

「あっ……あや、アヤナミ………様?///」

「テイト。」

「はっ…はい!」

「…………甘いな、とても。」

甘さを帯びた低音が、耳朶を優しく擽る。
………恥ずかしい。なんだか無性に、
恥ずかしい。
頬どころか、首筋まで染まっているのが自分でも解る。

「………テイト。」
「は……はい!…!!?」

ーーーアヤナミの舌が、テイトの両手に握られている柔らかく溶けた白塊に沈み、掬って、飲み込んだ。

「〜〜っあ…あの……あ……///」

あまりの衝撃に、
次の言葉が出てこない。
(いっ…今、アヤナミ様、アイス……たっ………食べ…!?///)
動転して、口をパクパク開閉させていると
アヤナミから凄まじい追撃が寄越された。

「ーー一緒に食べよう。」

「!?ふぇっ??///」

「……嫌か?テイト。」

…………………………はっ……恥ずかしい!
とにかく凄く、恥ずかしい!
………だが、嫌では、無い。
むしろ、嬉しく感じている自分が居ることをテイトは自覚していた。
だからーーー

「……イヤ、なんかじゃ、無いです。
一緒に食べましょう、…アヤナミ様。///」

そう言って、自ら蕩けた氷菓子に口を寄せた。


ーーーーーーーーー
end

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