novel 乙女な日…?(アヤテイ前提コナツ+テイト) ※テイトが乙女思考です!にょたでは無いです。あしからず。 ホーブルグ要塞内には、各士官用に寝泊まりできる個室が設けられている。 その内の一室―――――アヤナミ参謀長官付きベグライター、テイト=クラインの部屋から悲鳴を聞きつけ、コナツは急いで彼の部屋に駆け付けた。 「テイト!」 賊でも侵入したのかと、乱暴に扉を打ち破る。 足を踏入れ室内を素早く見渡すと、特に異常は見受けられないが浴室へ続く扉が開いている。 扉の向こうのテイトの気配を追って、 コナツが顔を覗かせると簡易洗面台の前でテイトが硬直していた。 「――…テイト?どうしたんだ?」 「…!?あっ、コナツさん。」 コナツに声を掛けられた事により、 正気に戻ったテイトは慌てて駆け付けたであろうコナツに目を遣り、次いですまなそうにあやまった。「すみません。あの…煩かった…ですよね?」 「あ…ああ、いや、何かあったのかと思って心配はしたけど迷惑とかじゃないから!気にしないで。」 しょんぼりと肩を落としてしまったテイトに慌て、コナツは励ますように言葉を重ねる。 「それにしても大きな声だったけど、…何があったんだ?」言いたくなければ言わなくていいけどと前置きして尋ねると、可愛い後輩は恥ずかしげに頬を赤らめながらも小さく呟いた。 「実は……ニキビが…出来てしまって。」 確かに、よく見てみれば、テイトの右頬の真ん中にぽちりと赤いニキビが出来ている。 「……は?」 テイトの言葉に、だからどうしたというんだ とばかりに、ぽっかりと口を開けて呆けてしまうコナツである。 だが、テイトはそんなコナツの反応には気付かず、更に言いつのった。 「そのっ…ニキビ、出来てたのが、オレ、凄いショックで…。」 「…?そうか?若いんだし、別にそれくらい普通だろ?」 コナツがそう口にすると、テイトは顔を上げ、半ば叫ぶ様に言った。 「だって…!!アヤナミ様が、『テイト、お前の肌は白く滑らかで美しいな。気に入っている。』って!仰って下さったのに!」 ……………………………………。 (えぇぇぇえ!!?そんな理由っ!?) 年頃の乙女の様な愛らしい理由にどう対応して良いのか解らずコナツの頭の中は一瞬真っ白になってしまった。 だが、悩み苦しむ可愛い後輩の為に、コナツはかろうじて言葉を絞り出した。 「と…とりあえず、絆創膏でも貼ってみたらどうだ……?」 ――― テイトが右頬の絆創膏についてアヤナミに詰問され、 誤魔化そうとついた嘘がとんでもない誤解の連鎖を生み出し、アヤナミによって軍病院へ搬送されるという一大珍事件が起こったのは それから30分後の事であった。 end [*前へ][次へ#] [戻る] |