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 きっと机の上の書類がロッキー山脈と化してしまい、笑ってしまいたい状況を通り越して、現実逃避に走ったのだろう…。
『今度の連休、本国に戻ってくるかい?』
「無理です」
 天下の帝位継承者の質問を、斬って捨てるように即答した。
 祖父母やエセル兄様本人にお会いしたいが、一週間の短い期間ではレイの身体が様子が心配になる。
 丈夫になってはきているが、環境がガラリと変わる長距離の移動はいまだ気をつかっている。
 本国からこちらに移動したとき、寝込まなかったのは奇跡だったくらいだから…
『レイフの身体のことが心配なのかな?』
「ええ…そうです。兄様」
 考えを当てられ、私は素直にこたえた。
「だから今度の連休は、エリア内にある保養施設でも行こうかと思いまして」
『そうか…。残念だな』
 その声に胸がチクリと痛んだ。
 エセル兄様には、同腹のご兄弟がいらっしゃらない。
 そのせいか、まだ本国にいたころ、レイと離宮に遊びに行くととてもかわいがって下さった。
『じゃあ、僕がそっちに行こうかな』
「えっ…?!」
 驚く私に、笑い声とともに否定してきた。
『冗談だよ、冗談。新しい総督閣下に怒られてしまう』

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