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 以前に一度、皇妃となっている叔母の離宮で、彼女に偶然会ったときの印象からそう思った。
 だが、そのときからだいぶ時間が経っているから、少しは違っているとは思うが、ふんわりとした感じで、噂できいていた姉のコーネリア皇女とは違った印象の皇女だった。
 
 報告書を書き終え、依頼主に送る準備をしていると、プライベート用のケータイが鳴った。
 あわてて相手の名前を確認すると、〔Ethelbert al Britannia〕の文字が浮かんでいる。
 帝位継承者にして、我が従兄の名前。
 数瞬、迷ったが通話ボタンを押した。
「お待たせいたしました。エセルバート殿下」
『携帯のときは、昔のように、エセル兄様でいいって言ったはずだよ。マーシャ』
 受話器の向こうで、困ったように笑う声がする。
「ですが…」
 言葉を濁しながら、机の時計を見て時差を計算する。
 本国では政務が始まった時間だ。
『僕がいいと言ってるんだからね?いいかい』
「はい、兄様」
 素直に返事をし、仕事はいいのかと訊く。
 彼が携わる仕事は以外と激務なはずで、よく仕事をしながら食事を取ることが多いと聞いていた。
『今日はたいして仕事はないんだよ』
 嘘だ、絶対に…。

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あきゅろす。
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