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 見るとアベルが、カラスに攻撃されて、必死に逃げていた。
 僕がアングリと口をあけて見ていると、アベルはカラスからの攻撃をやりすごそうと地面に伏せる。
…やがて、カラスは襲撃するのに飽きたのか、アベルの髪の毛を数本持って去っていった。
「大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
 僕の質問に、服についた泥を払いながら、笑ってアベルは答えた。
「では、レイフ様。私はマーシャ様のところへ参ります。トレス君が側におりますので、ご安心を」
 僕にうやうやしく頭を下げると、姉様のほうに立ち去った。
 姉様に怒られないといいなと僕は思った。
 最近の姉様は、アベルに対して変だからだ。
 なぜかやたらイライラしている感じで、どうしたんだろうと思う。
 アベルが心配で、姉様のほうを見ると、予想通り怒られているアベルが、姉様に細い布をヒラヒラさせて見せていた。
 
「…遅れてごめんよ」
 姉様とアベルを見ていた僕は、その声に振り向く。
 慌ててきたのかな?
 黒い髪がわずかに乱れていた。
 トレスが、お兄ちゃんに頭をさげ、挨拶するとお兄ちゃんは軽く会釈した。
「そんなことないよ、御用があったんでしょう?」

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あきゅろす。
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