Secret Work
なにか嬉しそうに笑うアベルに、少し腹がたった。
何故だろう…?
小さい頃はそれなりに頼もしく感じていた彼が、頼りなく感じるようになった。
私に見せる笑顔のせいだろうか。
「あそこの屋台で、クレープ買ってきて。中身はチョコバナナ生クリーム」
自分勝手なイライラを、当たり散らさないようにするため、アベルにプリペイドを渡して命じた。
「チョコバナナ生クリームですね。わかりました」
屋台へ走っていくのを見送ると、ため息をついて再びレイの方をみた。
どうやら相手が来たらしく、考え考えながらだが、楽しそうに駒を動かしている。
相手は木の向こうに隠れ、確認がとれないけど、トレスが微動だにしないから安心できる人物なのだろう。
でも相手は、レイ相手に手加減をしないらしく、レイの手のなかの駒が、迷うように盤上に置かれる。
公園での休日を楽しんだ日から数日後。
私達の、いや、世界の運命を変える発端となる事件が起こった。
シンジュク事変。
エリア11総督であり、神聖ブリタニア帝国第3皇子であるクロヴィス・ラ・ブリタニア殿下が、何者かに暗殺されたのである。
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