[携帯モード] [URL送信]
Secret Work
 ニコッと笑うアベルに、たったいま気になったことを尋ねる。
「ここに来たとき、家の恥にならないような格好だったわよね。どうしたら、そうなるの?」
「若様のお側で立っておりましたら、カラスに襲われまして…」
「つっつかれたのね…」
 絶句した。
 そして目眩がしたような気がして、額に手をあてる。
「何本か巣の材料になったようです…。あ!」
 そしてなにか思い出したかのように、ほつれた感じのする細い布をポケットから取り出した。
「でもこのリボンは死守しましたぁ」
 嬉しそうに笑う。
 なんで、そんなリボンひとつで喜んでいるんだろうと思いながら、しゃがむように手で合図した。
「こっちに背中をむけなさい」
 バッグの中からポーチを取りだし、消毒液と櫛を出す。
「血が出てる」
 消毒液をティッシュに染み込ませ、傷を拭うと乱れた髪を櫛で整えてやる。
「あ、ありがとうございます。お嬢様」
「お礼を言われる筋合いはないわ。恥をかきたくないだけだし」
 護衛にしてはムダに長い髪を、先程のリボンで結んでやる。
「できた。今度から帽子を被りなさい。カラスは光り物が好きなんだから」
「はい、承知しました」

[*前へ][次へ#]

6/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!