Secret Work
何のために襲撃するのか、知らないし聞かない。
今までそうしてきた。
これがこの仕事のルールだからだ。
“仕事用”に提供されたケータイに、情報を受取ったと言う連絡のメールが入った。
それを確認するとロックをかけ、通学用の鞄のなかのポーチにしまう。
学校には厳しい荷物検査などないし、家のものにもこの鞄を覗くものがいない。
そして、いつでも連絡がとれるかたちに出来るという理由から、自然と決まった。
結果、2つのケータイを持ち歩くことになったが、面倒という気にはならない。
むしろ面倒なのは、通学手段だ。
車で送り迎えされるということは、二つ目のケータイの存在を知られてしまうし、メール以外の方法で情報や物品の受け渡しが難しくなる。
だから、ダイエットと健康のためというウソっぽい理由をつくり、徒歩とモノレールでの登校に切り替えた。
そのことについて、ミセス・ヒンクリーや執事のボナムがブツブツ言ってきたが、高等部にいる同じ貴族のシュタットフェルト家令嬢だって、車の送迎がないのだからとか、通学に車を使うことの不経済さなど理屈をこねると、二人とも反論する気が失せたのか沈黙した。
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