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第一章
06「Sorry. 気にしないでくれ」


見積もり書に相違がないか、確認しながら政宗の執務室へと向かう。
見張りの者は柊の顔を見ると、すぐに襖の前を開けてくれた。


「政宗様、柊でございます。医務に関する見積もり書にお目を通していただきたいのですが・・・」
「おう、入れ」


政宗の執務室に入ると政宗のまわりには書物やら書簡が山積みになっていた。
・・・今まで溜めていた分か、はたまた日ごろこれほどの量をこなしているのか柊には検討もつかなかった。


「Thanks. 鄭のおやじには会えたか」
「はい。・・・初めから叱られてしまいましたが」
「Ha!無茶してんじゃねぇってか?」
「・・・まぁ、そんな感じです。父上と鄭さんがお知り合いだったので驚きました」
「What?儀俊殿と知り合いだったのか、鄭のおやじは。会った事はあるのか?」
「はい、随分前に一度だけ」


政宗は少し考え、やがて口を開いた。






「――そいじゃあ、俺と会った事は?」


「・・・・え?」




政宗は柊の反応を見て、自分は何を言い出すんだといったふうに首を振った。


「Sorry. 気にしないでくれ」
「――あ、・・・はい」


柊はなにか聞こうとしたがそれは喉の奥に押し込んだ。


「しっかし腹減ったな。城下に行って団子でも食いてぇな」
「政宗様は城下に行かれるのですか?」
「小十郎には内緒でな、よく行くぜ」


まるで餓鬼大将を思わせるような笑顔を見せた政宗に、柊はどこか懐かしい気持ちになった。


「そうなのですか。・・・私はあまり城下に行ったことがありません」
「あァ?もったいねぇ。じゃあ今度連れてってやるよ」


唐突な政宗の誘いに、いけないとは思いつつもつい柊は行きたげに反応してしまった。


「今度非番の日、空けとけ。俺が城下案内してやるよ」


ひょんな事から政宗と城下へ出かけることになった柊は、暫く非番が鄭のおかげで来ないことも
すっかり忘れ、
城下にはどんな団子屋や露店が出ているのかと思いを馳せていた。






――――――


今回はオリキャラ鄭さん出張ってました
本当は昔医師には必ず、今でいう助手的な存在がいたそうで
本来なら鄭もヒロインにもいるべきなのですがそうすると
オリキャラのオンパレードになりそうだったので(むしろ管理人がわけがわからなくなりそうだったので)
敢ていないことにしてます。




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あきゅろす。
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