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アヴィラ
12
ヴィクトリア王女殿下の教育係に任命されて1年が過ぎた頃。

ロイ正妃様は、もう1人のお世継ぎであるロアーク王子殿下をお生みになられた。

ヴィクトリア王女殿下もロアーク様も、とてもお美しかったルイラ様、そして父上であるキアルーク陛下によく似ておられた。

ロアーク殿下がお生まれになられた頃、なにやら離宮や王立魔道団に属する者達が騒がしかったようだが、その騒がしい原因は私達には知らされなかった。

「あふぁー…あっ!」

ヴィクトリア王女殿下がテトテトと私の元に走ってくる途中でトテンと城の庭の芝に転ばれた。

「ヴィクトリア様!!」

私は慌ててヴィクトリア王女殿下を抱き起こした。

「まぁ……ボドリュ卿。いくら教育係とはいえヴィクトリア様にはご自分で立ち上がってもらわねばいけませんわよ?」

クスクスと傍にいるヴィクトリア様の乳母であるエルザに笑われた。

とても可愛らしいヴィクトリア王女殿下は、最近ではしっかりと歩く事も、走る事も覚えられてご立派に成長されている。

「お泣きにならないなんてご立派です。ヴィクトリア様。」

「あふぁー?いっぱ?」

「はい、お上手に走れますし、お言葉もしっかりとされてきましたね。ロアーク様と言う弟君様がお生まれになられて、姉上様になられたご自覚みたいなモノが芽生えられたんですね、きっと。」

「ボドリュ卿?その甘やかせようでは、まるでヴィクトリア様が孫のようですわ。」

エルザはそう言って私の腕の中からヴィクトリア王女殿下を抱き上げた。

「なにを言う、エルザ。まだ、こんなに幼いと言うのにご立派にお言葉を話され、こんなに気品に満ち溢れている王女を私は他に知らない。」

私がそうエルザに話していると、エルザは唐突に私に向かって跪いた。

「エルザ?どうして急に私に向かって跪いたりして……。」

「最近はヴィクトリア王女殿下にかかりきりですか?」

「レイス。」

唐突に耳に息を吹きかけられるように囁かれゾクリと身体が震える。

エルザが跪いたのは、私、ではなくレイスにだったのかと理解した。

「この前、部屋へと来て欲しいと伝言を頼んだはずですが?」

「あ……あの日はヴィクトリア様が熱を出されたのだ。」

約束をすっぽかした気まずさから私はレイスの顔を見れずにそう言った。

「本当に……ヴィクトリア様には私達がついていますからと言いましたが自分が看病すると言われて、ずっとお傍におられたのですわ?グレイドル宰相。」

「仕方のない人ですね。貴方は教育係なのであって、乳母ではないんですよ?」

「だが、私は私の出来る限りの事をヴィクトリア様にして差し上げたいんだ!」

呆れるように溜め息を付きながら言うレイスにイラッとした私は怒鳴るように反論した。

「エルザは信頼の出来る乳母です。貴方の様に甘やかしてばかりでは将来ろくな大人になりません。貴方の仕事はヴィクトリア王女殿下に知識を与える事であって、甘やかす事じゃない。エルザの邪魔をしないように。」

「邪魔っ?!邪魔なんかしていない!」

「エルザ、ヴィクトリア王女殿下の事を頼む。」

「はい、グレイドル宰相。」

「こっちに来て下さい。」

「わっ……っと。」

レイスに腕を引っ張られてずんずんと歩く。

城の一角、人影のない柱の陰に連れ込まれた。

柱に押し付けられるようにキスを受ける。

「ううっ……んんー!」

「私との約束を破って、私を焦らしているつもりですか?」

「ちがっ……。」

「貴方も欲求不満でしょう?お互い忙しくて身体を合わせる事が出来ませんでしたから。」

「そんな事……ない。」

「嘘つき、ここがもうこんなに濡れてる癖に。」

「ひあぁっ……。」

レイスは意地悪く、私のソコから出た体液をヌチュリと音をさせて弄る。

「やっ……こんなところで。」

「しぃ……静かにしてないと誰か来るかもしれないですよ?」

「レイス……やっ。」

「貴方が悪いんでしょう?私との約束を破るから。」

「そ、そんな。」

「今日は余裕がありません。痛いかもしれないですけど我慢して下さいね?」

「ひぐっ!!いや……いや……痛い!痛い……やめっ!」

久しぶりの行為の上に、慣らしてもらえずに埋め込まれたレイスの凶器。

埋め込まれた部分に痛みが走り、血の匂いが辺りを充満した。

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