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アヴィラ
エピローグ
小さな子の手はまるで紅葉のようだと、私は思う。

まさか自分が産んだ子を、この手に抱く事になるとは思わなかった。

私はレイスと結婚し子供を産んだ。

一人息子の私が嫁に行ってしまえばボドリュ家は取り潰しになると思っていたが、驚いた事にレイスは婿養子として入って来た。

今やすっかり父や母にまで気に入られている。

もっと男性と婚姻を結んだ事を責められると思っていたが、母に「長年独身で心配したけれど、あのレイス宰相と結ばれるなんて良くやったわ!」とむしろ褒められた。


そして条件が満たせない為に子供は成せないと思っていたが、カインはまるで悪魔の様に魔道団副団長に特訓させて教え込んだらしく、私、カナメ、ライアスの3人は同時に両性になり、子を成した。

私とカナメはそれぞれ男の子を。

ライアスは男の子2人と女の子の三つ子を産んだ。

最初はヴィクトリア様が妹様を望んでいらっしゃる事からロイ様も妊娠をなさると言う話だったが、何度も変化するのは、あまり良くないと言う事と、陛下が次の子を望まれなかった為にロイ様が妊娠される事はなかった。

「ラファーさん。」

「カナメ。」

カナメと共にお互い子を抱いて、城の中で話が出来る事は有り難い。

「ラファー。」

「来ていたのか。」

「ヴィクトリア様、ロアーク殿下。」

たったこの数年で、ヴィクトリア様は立派な淑女に、そしてロアーク殿下は後継ぎにふさわしい風格の持ち主になられた。

「この子がラファーの子?あら、なのに垂れ目以外はレイスにそっくりね。」

ヴィクトリア様が私の子を抱いて下さるように、ロアーク殿下も無言でカナメの子を御抱きになった。

何故か、カナメの子である赤ん坊とジーと見つめ合っている。

「あ、あのロアーク王子?」

自分の子供と見詰めあわれて、困ったようにカナメが殿下を呼ぶ。

「ロアーク殿下?どうされたのですか?」

「この者を伴侶にする事にした、これからは城で暮らすと良い。私の部屋へ連れて行く。」

「はい?ちょっ……何言って?」

「で、殿下?」

愛しい、この剣と魔法の国アヴィラがいつまでも幸せでありますように。

だけど、まだまだ、この国は大変そうだ。

完結

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あきゅろす。
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