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アヴィラ
31
「なら陛下、ラファーに与える罰は拷問と言う事でどうですか?」

とカインが提案した。

「拷問執行者はレイスが妥当かと。それにラファーは勿論ですが、結界を崩してしまい国、王女、そして正妃すら危険に晒してしまったカナメにも罰は必要かと思います。」

カインの提案は、あまりにも私に甘いモノだった。

レイスから与えられるのならば痛みや苦しみも拷問だとは感じないだろう。

「そうだな……レイス。」

「はい、陛下。」

「お前に1ヵ月の執務代行を申し渡す。それと並行してラファーの拷問執行者も申し渡そう。拷問の方法はお前に任せる。ラファーに二度と問題を起こさないと思えるほどの苦しみを与えろ。別に苦しみだけとは言わないがな……ラファーは1ヵ月すれば解放していい。お前に眠る時間はないだろうが、城を預け、起こした問題をそれで許してやろう。」

「はい、陛下。有り難き幸せ。必ずやご期待に添いましょう。執務代行、そして拷問執行者としてラファーには1ヶ月間の苦しみと快楽を。死神の名にかけまして。」

レイスは優雅に陛下へと腰を折った。

「カイン。」

「はい、陛下。」

「執務代行のレイスの補佐を。それと並行して、国、王女、正妃を危険に晒した者への罰を。お前が拷問がふさわしいと思うなら拷問にかけろ。拷問の方法はカイン、お前に任せよう。ラファー同様、1ヵ月すれば解放して構わない。カインもレイスと同じ様に眠る時間はないだろうが、お前が連れて行った人間が起こした問題はそれで許してやる。」

「はい、陛下。有り難き幸せ。レイスの補佐をお受けしました。カナメには1ヶ月間の快感を言う拷問を。死神の名にかけまして。」

陛下はカナメにも私と同じ罰を与えられた。

「あの……結界を壊した事で、みんなを危険に晒してしまって本当にごめんなさい。」

自分の罪を理解しているらしいカナメはそう言って謝罪する。

その言葉を聞いてマルスは皆に罪があるのだと言ってくれたが何も罪を犯していないライアスを拷問したいと言い、陛下に窘められていた。

「それからロイ。」

「はい、キアルーク様。」

「勿論お前にも罰を与える。離宮から出るなと言う王命に背いた事。そして抜け出した事で軍の捜索を混乱させた罰だ。ラファー、そしてカナメと同様に1ヵ月の拷問だ。」

「はい。」

「お前の拷問執行者は私だ。覚悟しておけ。」

「はい、キアルーク様。」

そう陛下がロイ様に告げられる。

それを大変申し訳なく思った。

ヴィクトリア様の事を私が告げなければ、ロイ様が罰を受けられる事はなかったのに……。

そんな気持ちでロイ様の顔を見れば、ニコリと笑って頷いて下さった。

「陛下、ロイ様、カナメ、ライアス、カイン、マルス……そして……レイス。有難うございます。」

私は一人ひとりの顔をゆっくりと見ながら、皆にお礼を言った。

庇って貰えた事が嬉しかった。

優しい人達に囲まれて幸せを感じた。

「それにしても、どうしてキアはラファーを斬り捨てる気はなかったの?」

とマルスが私も疑問に思っていた事を聞いてくれた。

「始まりだからな。」

「ん?」

「ロイに会わせてくれたのはラファーだからな。私がマディスに行った時、母の首飾りを探しているロイを見るようにと、あの場所に連れていったのがラファーなのだ。」

「あぁ!そう言えばラファーはキアの小さい頃の従者だったっけ?」

「陛下……覚えておられたのですか。」

私は驚いた。

あんな、たった6歳の頃の出来事を覚えていらっしゃったとは……。

「当たり前だ。」

「あの時の方だったんですか。」

とロイ様も私の方を見て驚いて下さる。

小さな頃の陛下とロイ様が今の姿に重なって見えた。

「ええ、覚えていて下さったのですか。ロイ様はお泣きになられているキアルーク様に声をかけようとして下さいましたね。そしてキアルーク陛下、あの頃は殿下でしたが……首飾りを池に落とされたことを知り、先程慰める事が出来なかったからと大人でも躊躇するほどの冷たい池の中に入って首飾りを探してくださった。マディスの王家の中で辛い目に遭われていても泣き言一つ言わない強いお子様だと城の使用人達から言われておられた。だからこそ、そんなロイ様を見て小さな頃のキアルーク陛下にロイ様を見て頂きたくて呼びにいったのです。そのロイ様がキアルーク陛下の奥方様になられている。本当に嬉しく思います。」

「ラファー……。僕も、嬉しいです。僕とキアルーク様を会わせてくれて有難う。」

と勿体なくも私に頭を下げて下さる。

「ロイ様……そのような……。」

「では、もういいだろう。」

そう言って陛下はロイ様をガッと肩に担ぎあげた。

「わぁ……キアルーク様。」

「さて、離宮に戻るぞ。ロイ……1ヵ月、覚悟しろ。執務はこの3人がするから私はお前に罰を与える事だけに専念しよう。」

とロイ様は陛下に連れられて離宮へと連れて行かれた。

陛下は無理をされないと思うが、少しでもロイ様に優しくあるようにと願った。

「さて、ラファーもですね。」

と言う声で私はレイスに子供のように抱きあげられた。

「れ、レイス……。」

「勝手に死なれそうになった男の怒りを感じてもらいましょうか。」

とレイスは目を細めて私を見る。

その目は欲に濡れている目だと思った。

だが……そんな風に求めて貰える事すら嬉しい。

もう二度と触れ合う事すら出来ないのだと思っていたから。

城の中のレイスに与えられている部屋に到達し、私はレイスに抱きつくように手をまわした。

「ラファー?」

「カナメからの伝言はカナメが捕まったから、聞いていないだろう?」

「ええ、私達の元に来たのはライアスでしたから。」

「じゃあ、伝言じゃなく直接伝えるよ。レイス、愛している。」

「ラファー!」

レイスがキスをしてくれる。

まるで嵐のように荒々しいキス。

好きな人とのキスは、少しぐらい乱暴でも気持ち良く思えた。

「ラファー、ラファー……。」

強い力で抱きしめられ、私の名を何度もレイスは呟いた。

「レイス。」

「ラファー、今、私がどれほど怒っているのかわかりますか?」

「すまないレイス。レイスに迷惑を掛けてしまうと思っていてもロイ様がヴィクトリア様を探す為に協力したかったんだ。」

「違いますよラファー。怒っているのはそんな事に対してではありません。私以外の存在に、ここを触れさせましたね。」

そう言って愛撫も無しにレイスはグヌリッと後孔に指を押しこんだ。

「ぐっ……。」

「それに勝手に私を置いて、命を落とそうとした事も許す事が出来ません。」

「許さなくていい。拷問なんだろう?レイスから与えられるなら痛みも苦しみも耐えられる。」

「ええ、与えますよ。痛みも苦しみも、狂う程の快感も。」

耳元で囁かれる、甘い睦言かと思うような、その言葉。

性急に服を剥ぎ取られて、真っ裸にされベッドへと押し倒された。

貪られる身体。

与えられる快感。

それは拷問などではなく、ただの喜びの行為だった。

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あきゅろす。
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