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アヴィラ
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「お前達の目的はなんなんだ!」

「苦しめる為だよ!今は英雄なんて呼ばれている4人の死神をね。我がトゥーラの王を殺したヤツラを!」

なんだと!

「アヴィラ先代と王妃を暗殺したのはトゥーラだ!」

女の言葉に私は我慢出来ずに叫んだ。

ルイラ様にも先代の王にも、先に暗殺を仕掛けてきたのはトゥーラだったと言うのに!

他の国はともかくトィーラに対してキアルーク様が攻め入られたのは、自己防衛とカタキを取る為だ!

「そうさ、魔法石の産出できるアヴィラを手に入れ、我が王が全てを手にいれるはずだった。なのにそれをアヴィラの暗黒王が阻んだのだ!だから、この子供と。異世界から呼び寄せたこの生贄を捧げ、あの王の命と引き換えに我が主の復活を望んだのだ!」

「そんな事出来るわけが……!」

女の言葉に呆然とロイ様がそう言う。

「確かに普通の魔道師には無理だ。だが私には、この世界の秘宝と呼ばれた魔力を数十倍に膨れ上がらせる事の出来る魔石がある。現に死神の鎌であるカインにだって打ち勝って、生贄をこの世界に呼ぶ事が出来たのだから我が主の復活だって出来る。」

「そんな事はさせない!」

「お前はなんだ?ラファーの従者か?お前のような小物が何を言おうと無駄さ。もうアヴィラ王の血筋の者と生贄は我が手にある。わかったかい?」

叫んだロイ様を女は蹴飛ばそうとしているのに気付き、私はロイ様を抱きしめるように庇い、女の足が背中に食い込んだ。

「ぐはっ!」

「「ラファー!」」

「なんだい?蹴られるのが趣味なのかい?」

アハハハハ。

そんな風に笑いながら女は何度も私を蹴る。

「やめろっ!」

「やめて!ラファー!ラファー!」

「お黙り!生贄風情が!」

やめさせようとカナメが叫んだ瞬間、女はカナメの頭を持っている杖で殴った。

「ぐっ!」

「カナメ!」

なんて事を!

「ラファー!カナメ!」

ヴィクトリア様が私達を心配されるように名前を呼ばれる。

「大丈夫ですヴィクトリア様。すぐに助けますからね。ご心配なさらないで。」

ヴィクトリア様が安心出来るように、笑ってみせた。

「はははははっ!お前ごときが助け出すだって?その状態でかい?その娘と生贄は夜には首を跳ね飛ばして我が主の復活の為に使われるのさ。どうせ生贄を殺す儀式は夜にしか出来ない。それまでの余興にお前で遊んでやるよ。」

そう言った女はガッと私の髪を掴んだ後、床に叩きつけるように手を離し、どこからともなく小さな鉢植えの植物を取り出し呪文を唱えた。

ウニョウニョと蔦が大きくなり、数十本の蔦が私の元へと伸びる。

私はその蔦を振り払う。

だが、振り払っても、振り払っても伸びて来る蔦。

「ふはははは!こいつは人の身体の中に入って快感を生み出し、その快感を吸い取って養分にして大きくなる植物でね。こいつに絡め取られたが最後、白骨化するまで快感地獄を味わえると言う楽しい植物なんだよ。しかもコイツには利点があってね。大きくなったコイツにある術を掛けると元々魔力を持っている人間なら自分の魔力を増幅する事が出来る様になるのさ。今まで何十人の女も男もコイツの餌食にして、ようやく今の魔力の強さを得たんだ。」

「やめろ!」

ロイ様が叫んで庇おうとして下さる。

「おや、さっきラファーが庇った人間だねぇ……お前は何者だい?まあいいさ。お前もこの蔦の餌食にしてやるよ。白骨化するまで触手に嬲られて快感地獄の中にお入り!2人分の養分で私はきっとカインよりも強い魔力を得られるよ。」

なっ!

まずい。

ロイ様に何かあったらそれこそキアルーク陛下にもレイスにも顔向けが出来ない。

「やめろ!くそっ!その方に手を出すな!」

「うるさいねぇ。黙らせな。その方だって?お前はどうも高貴な人間みたいだねぇ」

私と同じようにロイ様にも蔦が伸びる。

ロイ様にはヴィクトリア様とカナメを連れて逃げてもらわないと!

「逃げて下さい!」

そう叫ぼうとした瞬間、女の言葉に従う様に口の中に太い蔦が入り込んだ。

「うぐっ!」

「ほらほら、そっちのも裸に向いて触手に犯させてやろう。」

ロイ様、逃げて!

そう叫びたかったが、蔦に声を奪われてどうする事も出来ない。

やはりロイ様を離宮から連れて来てしまった事自体が間違いだった。

キアルーク陛下はロイ様の御身に危険が降りかかる事がないようにされていたのに……。

申し訳ございません。

そう思うが、ロイ様のお身体をあのような蔦で汚される事を思えば、そんな言葉だけでは済まされない事だと思った。

助けてくれ……レイス。

ぬるぬると服の中に侵入して来て身体を這いまわる蔦に足を開かされて、ぼんやりと思う。

ヴィクトリア様とロイ様やカナメだけでも……助けに来て欲しい。

そう思った時、顔の横をヒュッと風が走った。

え?

目を開けると、レイスがいた。

レイスが短剣でブチッと蔦を千切るとシュルシュルと蔦が縮んだ。

「レイス!」

私がそう叫ぶと同時に、ロイ様は「キアルーク様!」とそしてカナメは「カインさん!」と叫んだ。

「凄い格好ですね。ですが無事で良かったラファー。」

レイスはそう言って私を蔦から引き離して、ロイ様とカナメとビクトリア様のいる場所に座らせてくれた。

現れたのは、その3人だけではなくマルスと八百屋の息子さんであるライアスもいた。

ライアスは私達の縛られた紐をほどいてくれた。

ロイ様がヴィクトリア様を抱きしめる。

「現れたみたいだねぇ。暗黒王と死神達。呪いで殺してやろうと思ったけれど、直々に殺してあげるよ!いくよ!お前達!」

女はそんな言葉でキアルーク陛下達に攻撃を仕掛けようとする。

その瞬間、目の前が真っ暗になった。

「「「「「え?」」」」」

驚いたのは私だけではないようだ。

「後で怖がられるのは不本意ですので、少し不自由ですけど5人の視覚を奪わせて貰いました。事が終わればすぐに戻しますので、その場でジッとしていて。」

そんなカインの声が脳の中で響いた。

レイスがどんな風だろうと怖がる事などないのに……。

そう思ったが5人と言う事はロイ様、ヴィクトリア様、カナメ、ライアス、そして私の5人だろう。

幼いヴィクトリア様に、いくら悪人だろうと人が傷つく姿は見て欲しくないと思うので適切な処置だと思った。

真っ暗で何も聞こえない状態は、そんなに長く続かなかった。

「もう目を開けてもいいですよ。」

そんな声に恐る恐る目を開けた。

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あきゅろす。
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