アヴィラ
22
「レイス……今夜、私の屋敷に……私の部屋に来てくれないか?」
「え?」
「恋人同士なのだから、不思議な事ではないだろう?」
「ですが……いいのですか?」
「婚姻出来なくても、華々しく結婚なんかしなくても私の好きな人がレイスでありレイスの好きな人が私なのなら秘密の恋人関係も悪くはないだろう?」
と、私はレイスにそう言った。
すると、レイスは気障に私の手をとり跪いた。
「レイス?」
「我が愛しい恋人、今宵、貴方の部屋へと伺うと約束ましょう。」
そう言いながら、私の手の甲にキスをした。
そんな気障な行動すら絵になってしまうレイス。
銀の肩でゆるくまとめてある髪が私の手にサラッと触れた。
夜になり、約束通りレイスは私の屋敷へとやってきた。
私はレイスを自分の自室へと招き入れた。
「お招き頂き光栄です。ここがラファーの育った場所なのですね。」
「殺風景だろう?」
国の役に立てるように内政を覚えようと必死に勉強をした部屋一面の本ぐらいで、その他は特に変わった事もない部屋。
「いえいえ、この部屋には優しい貴方の空気で満ち溢れていますよ。」
そう言って、レイスは私を抱きしめてくれた。
私とレイスはキスをする。
久しぶりに感じるレイスに身体が火照っていくのがわかった。
深く舌を差し入れられて、身体がビクビクと刎ねた。
「ベッドに?」
レイスはそう私に言う。
私は何も言わず、ただ頷ずきレイスと共に甘い時間を過ごした。
===
思いを伝え合って身体を重ねてから1ヶ月後の事だった。
お互い忙しく中々会う事が出来ずに1ヶ月が経ち、城のレイスの部屋でようやく抱き合う事がかなった時だった。
2人とも仕事を終え、夜中と言っていい時間。
「この前の逢瀬から帰った時に不思議な光景に出会いましたよ。」
「不思議な光景?」
「ええ、キアルーク陛下が一心不乱に何かを壊されていまして『私が片付けさせましょうか?』とお伺いすると『いい。』と断られた後になんとキアルーク陛下自ら壊したものを片付けになられていたんです。何を壊されていたんでしょうねぇ?」
とレイスはその光景を思い出したのかクスクス笑った。
私達が抱き合いキスをしていると、ヒュンッと部屋に風が吹き込んできた。
窓も開いていない部屋に何故風が……そう思ったが、風が強くて目が開けていられなかった。
風の音がやみ、目を開けるとそこにはカインがいた。
「カイン?」
「おっと、お取り込み中でしたか……それは大変邪魔なところに来てしまって申し訳ない。」
全然申し訳ないとは思っていない様子でカインはそう言った。
「王都で一番シュナール翼竜に詳しい人間の元へと唱えたら、2人のところに来たのですが……詳しいのはグレイドル宰相でいいのかな?」
「シュナール翼竜?あの100年以上も前に絶滅した竜か?それがどうした?そんなくだらない事が聞きたいのならば明日でも構わなかっただろう?」
「いや、結構急ぎの用でね……こいつの事だから。」
そう言ってカインが手の平を開くと、手の中には……。
「まさか……有り得ない。」
「それ……本物?」
カインの手の中にいる小さなドラゴンに驚きながら私とレイスがカインに聞く。
「よくわからないが、しばらく留守にして戻るとカナメがガガン山脈でシュナール翼竜の卵を見つけたらしい。だが死に掛けてるからどうにかして欲しいと頼まれたんだ。」
「カナメ?ラファーが面倒を見ていた異国人?」
とレイスが確認した。
「カナメは元気にしてますか?」
「元気ですよ。少し私の言う事を聞かない困った子になっているけど。」
とフフッと笑いながらカインが言った。
「さて、どうでしょう?この子は死ぬしかない?」
「私はそんなにシュナール翼竜の事に詳しくはないぞ……シュナール翼竜が沢山いる国は栄えると言う伝説や、100年前に絶滅したと言う話ぐらいしかわからない。」
カインの問いにレイスが答えた。
「そうですか……では、ラファーは?」
「少し、ここで待っててくれないか?城の中の本で、内政の勉強をしている時に読んだ本があったはずだ。」
私はそう言って城の中にある図書室に向かい、その図書室の中の古びた1冊の本を手に取りカインとラファーの元に戻った。
分厚く、酷く古びている本。
「確かこの本だ。」
そう言って、本を広げる。
絶滅寸前の頃のシュナール翼竜の事が書かれている本。
「本来なら群れで暮らし、子供は母竜の母乳でしか育たないはずのシュナール翼竜が1匹だけ人に懐いた例として書かれているんです。その男は卵の声を聞き、卵に呼ばれて自分の精液を分け与えて育てたと。」
「男の精液を飲む?」
「過去の文献にはそう記されてる。」
カインの質問に私はそう答えた。
「あげてみればわかるんじゃないか?」
「は?」
レイスの言葉にびっくりする。
するとレイスは私を抱きあげてベッドに落とし、バサッとシーツを被せてカインからが見えないようにして、服を剥いて私自身を刺激してきた。
「やっっ!ちょっ……レイス!カインがっ!」
「ああ、私の事はお気になさらずに。レイスがどれほど昔からラファー一筋なのかは知ってますし、邪魔をする気もありませんので。」
抵抗の言葉を上げる私にカインがそう言った。
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