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アヴィラ
14
「んふっ……。」

熱を吐き出す為に自分の性器を擦る。

熱が上がる事は上がるのに、あと少し何かが足りない。

「も、もっと……くっ……どうして……。」

何度も自分の性器を握る手を上下させて快感を得ようとしているのに、射精まではいたらない。

「イキたい……イカせてぇぇ!」

イキたくて、イキたくて。

なのに、足りなくて狂う。

どうしればイケるのかは知ってる。

だけど、男としてのプライドがそれを拒絶する。

でも……。

『何度も教えたはずでしょう?イクのはここで私を咥えこんでからだと。』

そんなレイスの声が脳内で再生される。

私は諦めてレイスに放たれた精液の残るソコに指を入れた。

「ひぁ……ああ!」

ようやく欲しかったものが貰え、身体が跳ねる。

ネチュネチュとレイスの放った精液ごと指を抜き差しし、レイスの残滓を掻き出す。

もう片方の手で自分を宥めた。

『好きですよ……ラファー。』

そんな幻聴を聞いた時、プシャッと精液を吐き出した。

「はぁっはぁっ……。」

自分で自分を宥めるなんて。

自分の淫乱さにズンッと落ち込んでしまう。

『一日、私を感じて生活してください。』

さっきの言葉を思い出す。

まるで、レイスに操られているみたいだ。

「レイス。」

思わずレイスの名を呟いた。

そしてレイスに操られるように自慰をしてしまった、翌日。

湯浴みをせずに寝てしまったせいか、まだレイスの残り香が纏わり付いているような気がする。

私は家で働く者に頼んで、湯浴みをしてから城へと出かけた。

昨日、レイスのせいで中途半端なお相手しか出来ず、ヴィクトリア様は寂しがっておられるんじゃないだろうかと思ったが、ヴィクトリア様のお部屋に行くと誰もいらしゃらなかった。

「あれ?」

「ボドリュ卿、今日はヴィクトリア様は月に1度の正妃様に会える日ですよ?」

通りがかった侍女が教えてくれた。

「あ……ああ、そうか。」

ヴィクトリア様とロアーク様は月に1度だけ正妃ロイ様にお会いする事が出来る。

レイスに聞いた話では、正妃様とお子達を逢わせないのは陛下の意思だと言う。

他の者達が離宮に行く事も禁止され、本人が離宮から出る事も許さず、子供達すらも逢えず。

「陛下は、どうしてそのような事をされるんだろう?」

私達にはわからない何かがあるのかもしれない。

「ロイ様は……お身体が弱いとか?」

とりあえずヴィクトリア様とロアーク様が正妃様のところにいらしているなら、城に居ても仕方ないので、私は屋敷に帰ろうと城を出ようとした。

「あら、ボドリュ卿ではなくて?」

優雅に、そして美しく、私に話しかけて来たのは前宰相の娘であるファビーラ令嬢だった。

「ファビーラ様ですか?お久しぶりです。」

私は礼儀にそって、膝をつきファビーラ令嬢の手を取ってキスをした。

「お久しぶりね。」

「ええ、本当に。」

前陛下の頃は、贅の限りを尽くした宴が毎夜開かれて、貴族の令嬢などが城にいるのは普通の事だったが、キアルーク陛下はそのような事をあまり好まれない。

その為、後宮に入られた以外の貴族の令嬢が城の中にいると言うのが珍しかった。

「貴方がお父様のお手伝いをしていた頃はよく屋敷に遊びに来て下さったのに、最近はちっとも来て下さらないのね?」

「申し訳ありません。」

前宰相の手伝いをしていたのは数年前で、レイスに初めて会った頃だ。

そうだ、初めて会った頃からレイスは生意気な男だった。

「ボドリュ卿?」

「ああ、申し訳ありません。うっかりと考え事を……そう言えばどうして城へ?」

私は、自分がレイスの事ばかり考えている気がして話題を変えた。

「グレイドル現宰相にお会いしに来たのです。」

「え、レイスに?」

「ええ……でもお忙しいみたい。また出直してきますわ。」

そう言ってファビーラ令嬢は従者に言いつけて、門の前に馬車を持ってこさせると優雅に乗って去っていった。

私は、自分が帰ろうとしている事も忘れて、ぼんやりとその場に立っていた。

「ラファー、なにをしているの?さっきのはファビーラ令嬢?」

「あ、ああ。」

話しかけて来てくれたのはエルザだった。

「そう、噂は本当だったのかしら?」

「噂?」

「あら、知らないの?随分と前……もう数年前ね。ファビーラ令嬢とグレイドル宰相が許婚だったのに、グレイドル宰相は一方的に破棄されたよ。だけどファビーラ令嬢はグレイドル宰相の事が忘れられず、いまだにグレイドル宰相に復縁を迫ってるって話。ついにお城にまで来られたのね。」

「そうなのか。」

「本当に疎いのね、ラファーは。上流貴族の息子にしては噂にも疎いし権力にも驚く程に興味がない。だからこそ陛下やグレイドル宰相は安心して貴方を傍に置いてヴィクトリア様の教育係りまで任せたんでしょうけど。でもちょっとは噂話も気にしないと、あんなに焼けるような視線を送ってるグレイドル宰相が可哀想だわ。」

「え?」

どうして、そこでレイスが出てくるんだろう?

「なにが……え?なのよ。」

「熱い視線って?」

「え、やだ、気がついてないの?本当に?」

「気がついてないって?」

「私があなたをラファーと呼ぶ度に焼け焦げるような嫉妬の視線をグレイドル宰相から貰うだとか、ヴィクトリア様と遊んでいる貴方をこっそりとグレイドル宰相が影から見守っているだとかを。全然気がついてないとは言わさないわよ?」

「そ……そんな事。」

エルザにハッキリと言われて私は、顔が真っ赤になった。

「あら……。」

「こ、今度は何……。」

「そんなに真っ赤になるなんて、ラファーもグレイドル宰相の事を嫌ってるわけじゃなさそうね。」

エルザに言われて、考える。

私は……レイスの事をどう思っているんだろう?

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