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いつだったか、赤が好きと言った彼女が部屋にシンナーの臭いが充満するのも気にせず手足全ての爪を真っ赤に塗っていた。
飾り付けるわけでなく、ただ赤1色になった自身の指の先を見て【アッシュの瞳の色とお揃いよ】と言って微笑んだ。

沢山の彼女との思い出と一緒に脳裏に浮かぶ彼女の笑顔。
記憶の中のそれと同じ表情をしている筈なのに、その顔は限り無く白に近い青と彼女の爪と、そして俺の目と同じ赤の2色しかなくて違和感を覚える。
彼女の全身に纏わりついている赤と俺の口の周りと手についている独特の鉄と同じ臭いのする液体は明らかに同じもので、それはある事実に結び付ける。

俺が、殺した。

昨日は月が空にパンチで穴を開けたように丸くて、それを見た以降の記憶は消え失せている。
また、狼になってしまったのだ。
何年たっても人狼でいることは変えられない。
でもまさかそれがこんなことを引き起こすなんて思っていなかった。

「ああああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!」

絶望に耐え切れず叫ぶが現実は変えられない。





どんより重い雲が空に広がる朝、都内マンションで狼の遠吠えが木霊した。












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ルーピン先生が好き過ぎて考えたネタをアッシュで使うと言う。←
しかし短い。





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