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甘酸っぱい思いなんか生まれてからはや15年間1度も味わったことのない私が、まさかこんなことになるなんて誰が予想しただろうか。

ドキドキのクラス替えで仲が良かった友達と思いっきりクラスが離れてしかも同じクラスは知らない子ばかり、な状況で唯一の救いは隣りの席が女子とも気兼ねなく話せる若菜君だったこと。本当にラッキーだ。


いつもは明るい声を響かせる口を中途半端に閉じて窓際で春の陽気にあたりうとうとしてる若菜君の顔を見た瞬間、私の中で何かが弾ける音がした。
顔が火照る気もした。


私は黒板に並ぶ数字の羅列とその数字についてつらつらと唱えるように言っている数学教師をちらりと見たあと、窓の向こうを見るふりをしてまた若菜君を見る。


遂に若菜君は睡魔に負けてしまったのか机にキスをして目を閉じてしまった。


(ノート見せてあげたら喜んでくれるかな?)


数学教師が黒板に例題を書いている間に自分の眠気に耐えようと必死に書いてきた汚い字のノートを1枚破って同じ内容を綺麗に書き直して行く。

(見せたら、笑ってくれるかな)


少しでも私に対する意識が変わることを祈って。


若菜君の奥にある窓の外では桜の花弁がついこの間まで降っていた雪とはまた違った感じに空を舞っていて、私の心を和ませた。




ピンクで彩られた数字達

(可愛いノートって思ってもらえるかな?)









あきゅろす。
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