寒い…
そう誰も聞いていない呟きを口から出すとともに出て来る白い息。冬だということを今更ながらに実感する。
1月4日、午後9時。
何でこんな時間に外に居るかというと、幼馴染みのヘタレに呼び出されたからだ。
呼び出した理由は聞かされていないが何となく用は分かる。その予想を元に暗闇に同化する色の袋を家から持って来た。(中身は大分前から用意していた)
ヘタレの家に近付いた時に、ポケットに入れていた携帯が小さく唸り声をあげた。
「何よふみき」
着信はもうすぐ会える幼馴染みから。
「いや、あのね、俺、欲しいものがあるんだけどリクエストしていーかな?」
「はぁ?もうあんたん家の前だし今から買い直すとか面倒んだけど!」
第一、今持ってるこのプレゼントだってふみきが欲しいって言ってたそれなりの値段のする財布だってのに何を考えてるんだ。
ふみきは私の不満気な言葉にえっと…と数回繰り返したあと「大丈夫」とやけに自信をもって言った。
「俺が欲しいのはお金のかからない今からでも用意出来るものだから!」
そう言った時ふみきは今私がいる道路に面している窓のカーテンを明けて、顔を覗かせて私に向かって言い放った。
「名前の隣りを俺に下さい!」
そう言った君の顔は寒さのせいか真っ赤だった。
多分、私も同じだろう。
そして、私はこくりと首を縦にふった。
(こんなヘタレにときめくなんて、一生の不覚!)(でも今までずっと好きだったんだからNOとは言えないわ!)
HAPPY BIRTHDAY 2009
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