1 ―――ある調停者と、夢を見すぎた「運命」の会話。 終焉遁走曲 ―――まだ私に逆らうのか、哀れな我が子よ 「ボクは止めなきゃいけないんだ、お前を、全ての憎しみの輪廻を」 ―――私はお前を、世界を作った「運命」だ。それに逆らうつもりか? 「ああ。生憎、運命に流されるのは好きじゃないんだ」 ――――何…? 「何処かの誰かが言ってた、運命は縛るものじゃないって。ただただボクらを導いて、困った時の道しるべになるもの。だけどお前は違う」 ――――戯言を。ならば私がいなかったらお前はどうなる?何度も言うが、私はお前でお前は私なのだ! 「お前がボク?笑わせないでくれ。ボクが大切な人達を傷つけて喜ぶとでも?お前こそ戯言を言うなよ」 ―――愚かな、人の子の分際で…! 「わからないだろうね、お前には。人間の気持ち」 ―――……!! 「お前は夢を見すぎたプログラム、だろう?人間を導くはずだったのに、いつしか凍てついた炎に魅入られて、自分の野望のためだけに動く…」 ―――…黙れ…… 「プロメテウスを消して、ボクの身体を手に入れて。…結局どうしたいんだ?世界を支配したい、新たな種の誕生を望む。その考えがある限り、お前は人間を導けない!」 ―――黙れ!! 「…どうしちゃったんだ。人間を愛していたフェイトは何処へいったんだ?何が原因でお前は、」 ―――私はお前を愛している…!だからこそ、お前を手に入れてめちゃくちゃにしてやりたくなる…! 「………。 機械には理解出来ない複雑な感情、か。誰かが言ってた、別次元にもお前と同じ夢を見た「母」がいたと。愛故の狂気ほど相手を傷つけるものはないのかもしれないのに」 ―――私は「運命」…凍てついた炎を手に入れて、新たな種を生み出すのだ…! 「……やっぱり無理、か。これもまた運命なら…仕方ないのかな」 ―――何を言っている!命が惜しかったら跪け!許しを乞え!!さもなくば、貴様も、この小娘も…、 「その娘には指一本触れさせない!…もう、やるしかないか…」 ―――面白い…「運命」に逆らった事、存分に後悔させてやる…!! 「………ゴメン、キッド。ボクが巻き込んだんだね…」 とある会話。 「運命」になれなかったプログラムと、 宿命の鎖を腕に巻いた調停者の、 最期の会話。 ‥END‥ NEXT→Postscript. [→] |