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そして、ななばんめに。







セヴンス
twilight side





彼は傾きかけた日を左の身に受けていた。
どれくらいここで立ち尽くしていたか、そんなことはわからない。わからなくていい。気まぐれな神々の吐息が髪を弄んだが、彼はそれを気にする様子もない。
眼光の鋭さを助長するが如く形作られた切れ長の眼は、ただただ底なしの蒼を見下ろしていた。

「……あなた……」

息をのむ気配、足跡。不意に空気を変えた侵入者。しかし彼は眉ひとつ動かさなかった。その声は何度か耳にしたものであるし、“彼女ら”が此処に足を踏み入れるであろうことくらい、予測の範疇であったから。

「………。貴様か」

落胆、焦燥。
振り返った先に立ちすくむ娘の顔から読みとれた感情。第三者でも十二分にわかる。恐らく普段は幸せと明るさで満ち充ちているはずの顔、そこから希望をはぎ取り、絶望を植え付けられた。仕向けたのは彼ではなくて、間接的に彼でありうると言える。

「あなたも……ここに来ていたんだ」

娘は彼の眼をまっすぐ見据え、少しだけ眉を下げた。どうやら彼女個人として、男に敵対心を抱いているわけではないようだ。

「……独りか」
「ダルトンと戦って、シルバードを取り返して……一度村に戻ったの。ルッカとカエルさんは疲れて休んでるわ。私は眠れなくて、村を散歩してて、そしたらここに人がいるって」

ゆっくりと言の葉を紡ぐ彼女の髪をも、吹き抜ける風が遊び道具にする。散らばっては集まる金の筋は否応にも視線を向けさせる輝きがあった。
――随分前に、遙か頭上から巨大な黒い鳥が墜ちてきた。巨鳥から逃れるように飛び出した白銀の翼も、男は見逃していなかった。今となっては記憶の中にしか残っていない日々、賢者がそっと見せてくれた設計図。白銀の翼は思い出の具現でもあった。

「……助かっていたんだね、………よかった」

気遣いを向けられ、思わず少女を凝視した。今きっと、自分の瞳孔は開いてしまっているだろう。冷静な分析を行う身体の隅の己を感じつつ、男は瞳を伏せた。

「貴様らの望む筋書きではないだろうな」
「……!」

再び向けた視線は、こわばった口角を見逃さなかった。揺らぐ眼差し、握りしめた拳。それらは肯定すらしてはいないが、しかし、否定していない。

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あきゅろす。
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