部屋の中には今日の夕飯、ハンバーグのにおいが鼻をくすぐった。 「空、マンガ読みながら食べるのやめなよ。こぼすわよ?」 「大丈夫、大丈夫!」 「大丈夫じゃないでしょ…」 あたしの手元には今、REBОRNのマンガが。そして、空いてる手にはハンバーグを食べるために箸が握られている。 「ていうか、それ何巻?」 「最新刊!今ね、今ね」 「言わないで!私、まだ読んでないんだからね」 「じゃあ、はい」 「今食べてるか―…」 マンガを差し出す。それを怪訝な顔をして断り、口にハンバーグを運ぼうとして風の手が止まった。 その視線はあたしの後ろへ向けられ固まっている。 「?風ー?」 手を目の前で振ってみると、口に運ぼうとしていたハンバーグが落ちた。 「「あ…」」 落ちたハンバーグに視線を落とすが、すぐに風に戻すと、風はあたしの後ろを指差していた。 「もう…何なの…」 その指の先を追い、後ろを振り返ると、そこにはありえない人物の姿が――…。 「おい、何やって―…」 後ろの銀髪さんもあたしたちを見て固まった。 「い、いらっしゃい…?」 「お、おう」 とりあえず言ってみた言葉に空が振り返って突っ込みを入れた。 「いや、あきらかおかしいから!」 「てめーら!十代目の家で何してやがる!」 「ちょっと、ダイナマイトださないでよ!」 「どこのファミリーのモンだ!」 「やっぱり獄寺隼人だ!」 「ああ?今、質問してんのは俺だ。何もんだ答えやがれ!」 ダイナマイトを出した獄寺隼人と思われる人に、空は目を輝かせて詰め寄った。あの子、本当に爆発させられたら危ないんじゃない?って、それは私もか。 「で?ここどこだ?」 「えっと…私たちの家、かな」 「どう見たって、ツナんちじゃねえよな」 「じゃあ、やっぱり山本武なんだ」 小さくつぶやいた言葉を聞き取れなかったのか、山本武は首をかしげた。 「おい、山本。十代目呼びに行くぞ」 そう言って、獄寺隼人は廊下に出て行った。完全にツナの家と思っているらしい。私たちの家は、マンションでツナの家みたいに一軒家じゃないし、ましてや2階なんてあるはずもない。 私は、山本武に視線を投げかけ、止めるように訴えかけた。それをわかってくれたのか、彼は獄寺隼人を呼びとめた。 「おい、獄寺。ここ、ツナんちじゃねえって」 「ああ?何バカな事言ってやがんだ。十代目の家じゃなかったら誰の家だ」 「あたしたちの家」 「お前に聞いてねー!」 「酷っ!」 「えっと…とりあえず、落ち着いて。ね?」 また、いい争いが勃発しそうな2人の間に入り、とりあえずなだめてみる。なんで、ツナは来ないかな…。 ――――――――― ―――――― ―――… ツナは、2階で暴れていたランボたちをとりあえずなだめて、課題を持って山本たちがいるリビングへ向かう。 「ごめん!おまたせ……って、2人とも?」 中をのぞくと、そこはもぬけの殻同然でさっき入っていたはずの2人の姿はどこにも見当たらなかった。 |