紳士服に女性
俺と獄寺は空に貰ったカードをもって、2人が入って行った道場の方を見ていた。
というより、いろいろと疑問点や突っ込みどころがあって動けないでいた。
「なあ」
「あ?」
「あいつら、本当に人のこと疑わないのな」
「ああ、そうだな」
獄寺も同じことを思っていたのか、いつになく素直に頷いて、ポケットの中をまさぐる。
昨日からその行動を何回か見ているが、すぐにやめて彼は舌打ちするのだ。
「昨日から、何捜してんだ?」
「煙草…」
ああ、そっか。そういえば昨日からこいつが煙草を吸っているところを見ていなかったな。それで苛々してんのか。体に悪いのにな。俺だったら絶対に吸わないのに…。
「とりあえず、先に煙草買うぞ」
「でも、カードでどうやって買うんだ?」
煙草は獄寺じゃ年齢的に直接買えない。そうなると、自動販売機で買うしかなく、そうなるとカードは使えない。まあ、直接買ったとしてもカードで買えるかはわからないけどな。
それを獄寺もわかったのかもともと眉間に寄っていたしわをさらに深くさせた。
「……」
「先に服とか買いに行くか。な!」
「チッ」
舌打ちをした獄寺に苦笑しつつ、いつまでもこんなデパートの前にいるのはおかしいから2人して中に入る。ツナと3人のことはあったけど、獄寺と2人っていうのはなんか新鮮だな。
獄寺は、高校に入った今もツナ大好きだからな。
デパートに入れば、当たり前だが人がたくさんいて、この中から自分が着る物を探すのかと思えば少し気が滅入る。
隣の獄寺を見れば、この光景というよりも、煙草のない現状にイライラしているようで眉間にしわを寄せていつもより険しい顔をしている。
「さっさと買っちまおうぜ」
獄寺を促して紳士服のある場所らへんを目指す。
それにしても、周りからの視線がすごい。ここでは、男子だけで来るのが珍しいのか?
「チッ!おい、野球馬鹿。さっさと終わらせるぞ」
周りを見渡しながら歩いていれば、少し前を歩いていた獄寺の声。
どんどん前へと行く獄寺を見失わないようについて行きながらも、こちらに視線を感じる方へ視線をやれば、女子の団体が目に入った。
手を振られたので振り返してみれば、歓声が上がる。それにさらに舌打ちした獄寺はもうほとんど走ってるんじゃないかってぐらい歩く速度を上げた。
紳士服売り場にたどりつけば、獄寺がカードを持っているため、1時間後くらいに適当に集合するということに決め、各々服などを選び始める。
ここは、同じ階ならどのレジでも会計ができるらしいからここで昨日のうちに考えてもらった要りそうな物リストをもとに探していく。
ん?なんで、ここは紳士服なのに女子がたくさんいるんだろうな。

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あきゅろす。
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