惜しげもない

昨日は何もなかったかのように、今日の風も空もいつも通りだった。普通に授業受けてるし、無表情なのは変わんねえし…。その様子に、俺と獄寺は首を傾げたけど、何もいうことはなかった。


「武!あぶねえ!」


「わっ!…ふー、セーフ!」


今は練習中で、ボーっとしてた見てえだな。匠の声が聞こえたからよかったけど、キャッチできなかったら危なかった。


「武!練習に集中できてないぞ!」


「わりい!」


昨日、あれからなかなか寝付けなかったから、眠くって眠くって…。授業中は寝れねえ教科ばっかだったしよ…。


「休憩!」


匠の号令により、全員が返事をするとそれぞれ水分補給やら何やらしに行った。


「武!」


「匠、さっきは悪い」


「別に良いけど…。刈谷がいたらやばかったんじゃねえの」


ニヤリ、といたずらな笑みを浮かべる匠に苦笑する。


「はい、匠、武。水分補給しないとあぶないわよ?」


「おう、サンキュー」


「ありがとな!」


風からコップを受け取って一気に流し込む。風はさっきの練習のことをノートに書き込んでいた。大分慣れたみたいだな。風。


「大分、板についてきたんじゃねえの?マネージャー」


「そりゃあ、強制的にやらされてから結構経ってますから。ほら、一年生が帰ってきましたよ?部長」


「うっわ。今鳥肌立った。風に部長って呼ばれるとか気持ち悪い!」


「失礼ね。じゃあ私はこれから刈谷先生に日誌をもらいに行ってくるから。どうせ、もうすぐ終わるんでしょう?」


「ああ、そうだな。大分暗くなってきたしそろそろ終わるぜ?」


「じゃあ、ついでに先生も呼んでくるわね」


「おう、頼む」


風は立ち上がると校舎の方へと歩いて行った。それから少しして、再び練習が再開された。っつっても、先生が来るまでの短いゲームなんだけどな。


しばらくその野球ゲームを楽しんでいたら、先生が来てそれを見つけた匠が集合をかけた。


「あー、じゃあ、明日は晴れるらしいから朝練するぞー。遅れてくんなよ。それと、文化祭で遅れる奴はちゃんと連絡を誰かに入れろ。わかったな?」


「はい!」


「じゃあ、終わり。相模!」


「はい!気を付け!礼!」


匠の合図とともに、終わりのあいさつをして、俺達は今日の練習を終えた。


「あ、風!ちょ、準備終わっても待ってろよな!ゲーム持って来てやったんだから」


「げ、本当に持ってきたの?私しないわよ?興味ないし」


ゲームというのは、前に匠がお勧めだと行ってきた奴で、面白そうに話すから、とりあえず聞いていたら話の流れで貸してもらうことになってしまったのよね。


「そんなこといわずにやってみろって!な?」


「……まあ、気が向いたらね」


匠に押されて、根負けした私は、とりあえずそのゲームを持って帰ることにした。まあ、たぶん私がやらなくても空がやるだろうし。ゲームは嫌いじゃないけど時間がないのよね。


帰る準備をしてから匠を待って、そのゲームを受け取った。受け取る時も、絶対にやってみろよな!と言われたけど、そこは流して私は帰路についた。


途中で武も追いついてきて、二人で帰る。一応武とは一緒に住んでいない設定になってるから、一緒に帰るのはちょっと、ってことになって途中で合流するようにしている。


家について、ゲームのことをいえば案の定話に飛びついてきた空。空に感想聞いて、匠に言えばいっか。


「よし!隼人やろう!」


「誰がやるか!」


「あー。もしかして負けるってわかってるから嫌なんじゃないのー?」


「誰が、テメエなんかにまけるかよ」


「いったな!じゃあ勝負だ!」


そして、獄寺も空にうまくのせられちゃってるし…。


どうやら、ゲームの内容は格闘ものらしくって、ボクシングから、空手、柔道、テコンドーとにかくいろいろと入ってるみたいだった。


そして、空はその空手の項目を見て、俄然やる気が出てきたみたい。ゲームと実際は違うと思うけど。


「あたしは空手やってるんだから負けるわけないじゃん!」


「ゲームに関係ねえだろ!」


「ハハハ!二人とも頑張れよ!」


どうやら、今日は空と獄寺で白熱した戦いになりそうです。まあ、結果は見えてるようなもんだけどね。


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あきゅろす。
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