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キスしないと出られない部屋/阿伏兎
[キスしないと出られない部屋]


阿「とんでもねぇ部屋だな、どういったカラクリだぁ?」


『夜兎の怪力でウンともスンとも言わないなんて…』


阿「こりゃ ここのルールに従っておいたほうが賢いんだろうな…
んじゃ ほら」


『え?』


阿「こんなむさ苦しいオジサンとこんな閉鎖空間に閉じ込められんのも飽きただろ
どこでもいいからチュっとしてくれ」


『えっ?わ、私がですか??』


阿「むさ苦しいオジサンにされたいのか?
お嬢さんにヘンタイ扱いされるのは御免なんだけど」


『ヘンタイだなんて、そんな事しませんよ、あ、阿伏兎さんは紳士的ですし…』


阿「ははっ 酔狂なお嬢さんだ、ありがとうよ」


阿「じゃー どこにキスとやらをすれば良い?」


『…え あ…どこでも…』


阿「どこでもじゃ困るんだけど…唇でも良いっての?オジサンだよ?良いの?」


『え、ええ 私は気にしません…』


阿「かぁー…うら若きお嬢さんが何てこった…今時の若い者は乱れるどころか爛れてんのかい?もっと自分を大切にしなよ」


『え、いえ 阿伏兎さんだから…』


阿「…オジサンをたぶらかそうったってそーはいかないぜ?
何よりお嬢さんにメリットが無いよ?
つーか団長と変なトトカルチョしてるとか無いよね?録なことにならないから…」


『もういいです、私が阿伏兎さんにキスをします』


阿「…え」


『いつまで経ってもこの部屋から出られないんでしょ…
ほら、屈んで。または座って下さい』


阿「座っちまったほうがいいか…」ぺたん


『…』「…」


『あの…目を閉じて下さい…そんなに見詰められても…』


阿「は、ハイハイっと」



素直に目を閉じてくれた…
私は覚悟を決めて 壁を背に胡座をかく阿伏兎さんの両肩を両手でぎゅっと掴む

……なんか膝立ちだとバランス悪い…それに阿伏兎さんの肩幅が広くて 何か私ったらカッコがつかない!!


そうだ 胡座の足に座ってしまおう
横向きなら お姫様抱っこみたいだからおしとやかだよね

そっと彼の懐に飛び込む



阿「!?」


目を閉じたままの阿伏兎さん、ビクッとした

ごめんね もうちょっとだから…


けど横向きだと 唇に唇が届きにくい…


『んー…』


困った私は方法を考える


阿「…」


考えるも 阿伏兎さんの体温を いつもより近くに感じる事に気付いてしまった


(なんて…暖かいんだろう…)


離れ難くなってしまう


そうだ、キスが終われば このぬくもりから抜け出さないといけなくなる


そう思うと切なくなった


阿「おい、いい加減に…おわっ!?な、なんつー体勢だ、こりゃ?」


『阿伏兎さん…』じわ


阿「は?何で涙目??」


『阿伏兎さ…』ぎゅう


阿「はぁッッ?!」


お姫様抱っこ体勢のまま 抱きついてしまった


阿「…あの…どーゆー状況?」


『ちゃんとキスするから、もう少し…もう少しこのままで…お願いします』


阿「ええぇぇ………どーゆーコト……」


━━━
━━



阿「…なぁ…まだ?」


『もうちょっと…』ぎゅううううう


阿「目は開けてていいの?」


『キス、するぞって決めた瞬間までなら…いいです』


阿『…』ぽりぽり


end






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あきゅろす。
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