☆クラシカロイドの小説(短編)2 運命の?/バッハ 先程から私の小指と 田歌の小指に、糸が繋がっている… 何だ?これは?何か…意味があるのだろうか? 話をしても移動しても、邪魔にはならない 長さも変幻自在 物体を通り抜ける様だ 不可解なことに、私にしか見えていないらしい… 他者にも、 田歌 本人にも… 本当に…何だ?…誰かのムジーク、か? しかし 効果が不明だ… 効果…ふむ そう言えば、以前 インターネットで日本の文化を調べた時に[赤い糸の伝説]なるものがあったな 最近 ドラマにもなったタイトルでも見掛けた… 運命の男女が結ばれるラブストーリーだったような いや、しかし 私と彼女を繋いでいるこの糸は 白い…な? … … … これは… いつかは赤く…染まるのだろうか? 放って置けば?それとも…何かアクションが必要だろうか…? … … … 赤く…薔薇の様に、紅く…ワインの様に む……? ━━━ ━━ ━ バッハ「 田歌 」 『はい?どうしました?』 バッハ「…これを…飲んではいかないか?」 『へ?お…お酒?』 バッハ「ゴルゴーニュ産の赤…悪くない味だ。たまには良いだろう…」 栓を抜き、グラスに注ぐ赤 彼女の前に静かに滑らせた 『あ、ありがとうございます…』 グラスを逢わせ、高音のゴングで始める 互いの唇に運んだ 芳醇たる調べは至福 私は口内のワインを 密やかに小指の糸に染み込ませた この瞬間を、糸に刻みつけるように その時 彼女の頬も赤く染まった 『お、美味しいです(ドキドキして 本当は味がよくわからないけど…)』 愛らしい眼差しを伏せて、照れた様に笑う 同時に、私達二人を繋いだ糸が 静かに色付いた それは 夕日の様に燃える赤… この糸を染め切るには 時間が掛かるだろうか 否 そう遠くは無い筈だ 私 一人だけの想いならば こんなに鮮やかには染まりはしないだろう 田歌 君の好意に甘えているだけだとしたら許して欲しい しかし…過信では無いのなら… 君よ…… end [*前へ][次へ#] [戻る] |