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烈々布店長の過去拍手置場
髭/バッハ
手が荒れてしまった
指もカサカサだ

このささくれた部分で唇をなぞると
唇がチクチクと痛い

まるで指にヒゲでも生えたかのような感触のチクチクだ


では唇を 本物の男の人のヒゲに擦り寄せたなら、どれくらいチクチクするのだろう


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━━



『と、いうわけで 確かめてみたいんです。感触を』


バッハ「………君は……唐突に不思議な事を言い出す時があるな」


『だ、駄目…ですか?』


バッハ「いや…駄目では無いが…」


『じゃあ、お願いします!おヒゲに、唇を擦り寄せても宜しいですか?』


バッハ「ダメでは無いが…」


『失礼します』


戸惑うバッハさんの隣に座り、顎の無精ヒゲに唇をそっと寄せる


バッハ「…!」


『あ………チクチク…』


バッハ「……」


続いて頬っぺたの無精ヒゲにペタペタと自分の頬っぺたをくっ付けてみる


バッハ「……」


『顎のほうがチクチクする…』


バッハ「不愉快ではないのか?」


『はい…なんか…面白いです…』ペタペタ


バッハ「…」


『あ、すみません!もしかして、バッハさんが不愉快でしたか!?』


バッハ「いや…不愉快では無い…が…」


『?』


バッハ「………」


『もう少し…してても良いですか?』


バッハ「ああ…」


『すりすり』


バッハ「………」


『なんか暖かくて………ふふふ』


バッハ「………君からのスキンシップだ。受け入れよう」


『…?何か言いました?』


バッハ「……」


心無しか ちょっと 熱を持った彼の頬に 心地良さが止まらない
もう少し、もう少しだけ…


バッハ「…私も、してみて良いかな?」


『え?い、良いですけど…』


バッハ「…」


ヒゲでジョリジョリするの?
それとも、唇ですりすりするの?
どっちだろう


キョトンとして待っている私の頬に訪れた感覚は後者だった


バッハさんの大きな唇が 嫌味無くすり寄る
少し乾いて 暖かい唇…

柔らかくて不思議な気持ちになって来る


少しだけ、気恥ずかしさが襲ったのでつい、話し掛けてしまった


『バッハさ…』


バッハ「ん…」


目を閉じていたバッハさんの唇と、私の唇が ふわりと触れ合って
目と目が合って


バッハ「すっ!すまない…!!!」


『わわわわわ私こそごめんなさい!!』


バッと お互いに顔を反らすけど

消えない
二人の其処に灯った 微熱が また引き合う


ヒゲの魔力?
恋の引力?


end


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あきゅろす。
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