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クラシカ(ショパン)/色白…/ほのぼの/店長
リク要素

・公園で肩を組みベンチに腰掛ける二人

[色白サスペンス]



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私はそこの公園の向かいに住む 高橋。
生まれは浜益育ちも浜益の55歳の平凡な会社員
息子も成人し、孫も居て やっと人生も落ち着いてきた所だ

今日は休日だし 妻と商店街に向かう
その道すがらに
仲睦まじいカップルを見た


桜並木の揺れるこの季節に 観光だろうか、
男性は白いライダースーツに紫色のカーディガンらしきものを羽織る 細身で色白、厚い前髪の赤毛が美しい白人男性だ


女性のほうは日本人ぽくも見えるが 脚が長く腰が高い様 アジアンだろうか 長い髪に紫色のワンピースが似合っている


肩を組み スマートフォンを片手に何かをしている所を見ると 若者だろう


私達にもあの様に青春の時代があった…
結婚してからは 時は早々に私の前を駆け抜けて行ったように感じる

辛い事悲しい事もあったけれど 過ごしてきた日々は幸せなものだったと思う

この家で築いて来た 私達に其れは 刻まれているのだ

若人達よ 君たちにも幸のあらん事を


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商店街から帰宅し たまに行くレストランで夕食を済ませた
今日も良い日だった…
2階の書斎で 伸びをする

そう言えば あのカップルはどのような所に向かうのだろう…そんなことを思い 向かいの公園を眺めると

おや?また人影が有る

あの公園は案外人気のあるスポットだったりするのだろうか 特に気にも留めず 私は風呂に入るのだった


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就寝していたが トイレに目を醒ます
年を取るとどうしても安眠し難くなる
何気ない物音や トラックの振動、クラクションの音なんかでも…

いけないいけない 早く寝てしまおう………


眠りが訪れるまでのぐるぐる回る1日の出来事
その脳内テロップに あの観光客カップルや数時間前に見た人影が浮かんだ

一度考えてしまうと気になる


どうせこのままでいても寝付けないのだ
2階に上がり、静まり返った公園を己に見せて 心を落ち着けよう…


私はあの窓から そっと覗く
もう既に人の居なくなった、ひっそりと街灯が見守る いつもの静かな公園を



━━━しかしまだベンチには 2人分の人影があった


馬鹿な…深夜だぞ?


どんな憩の場だとしても観光客でも こんな時間に人が居るなんて おかしい

変人だろうか狂人だろうか
おかしな事件も多い昨今 とても不安になった
ましてや住んでる家の向かいだ

妻を起こすのは忍びない、有事のその時は声を掛けよう…

私は玄関まで行って様子を見ようと思う…携帯電話を片手に…いつでも通報できるように…


━━━


突っ掛けを履いて ドアを開くと虫の声がする

道路を挟んだ 公園のベンチには やはり 人影がある


しかし…
何か違和感がある

その2人分の人影は微動だにしないのだ

昼間に見た、あの異国のカップルが
時間を止めたまま 肩を組み、スマートフォンを片手に持った儘で…


これは 明らかに 異常だ


意を決して、私は近付く…


一歩、二歩、三歩…


メガネを掛けなくても分かる距離



判る 見える



これは

「に、人形…!?」


しかし 何時からだろう…

何時から 此処に存った?
昼間に見た時には 確かに、人だった


人だったんだ…


フラリと立ち眩みを覚えた私は静かに、膝から崩れ落ちたのだ



━━━
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その様子を 人知れず 微々たる電子音をさせながら 記録媒体に写し続けている存在が有った


ショパン「イェェェェイメェン…良い表情だ!!やっと良い画が取れたぁぁぁ!長かったなぁ、公園に隠しカメラを設置して、 茱萸木とベンチにちょっと座って、人形並べて…人通りの少ない公園だったもんなぁ…今度はもう少し人が多い公園の方が…さて あとはこの録画を編集して、公園に置いたカメラも回収して…」


『な、何 やってるんですか…』


ショパン「えっ!?ひょわあぇぇぇ!? 茱萸木 どどどどうして僕の部屋にぃ!?」


『せ、洗濯物の靴下をお届けに…来たら…ぶつぶつ聞こえて…』


ショパン「そ、そうなんだ!それはサンキューガァル!気が利くね!とても助かったよ!でも今は取り込み中だから…」


『それ、あの公園だ私と写ってる画像ですよね?』


ショパン「ききき記念撮影さ…」


『ベンチにいる変な人形…私そっくり…』


ショパン「かかか可愛いだろう!?そうともこれは…」


『おまけに 善良な市民を怖がらせた動画じゃないんですか?』


ショパン「ここここれは」


『そんなの動画配信したら炎上しますよ?ショウペンさん?』


ショパン「……どこまで見てたの?」


『わりと一部始終…』


ショパン「…………だよねぇ」フゥ


ショパンは小さな溜息をついて 何かを諦めた様に目を伏せた

しかし同時に何かを閃いた様に口の端を上げる


ショパン「このサスペンス風の動画、諦めるから…… 茱萸木と僕の セクシー動画にしようか?」


『は!?そんなモンどこに…』


ショパン「これから撮ろうよ……カメラ すぐ回せるし 可愛く撮ってあげる…」ゆらり


『え、ちょ、何…そんなモン許さな…』


ショパン「大丈夫、ちょっと触るだけ…絶対痛くはしないから」じりじり


『ひ、や……』たじたじ


ショパン「ちょっと 恥ずかしいかも知れないけど 18禁動画って結構刺激的で稼ぎにもなってね……」じりじり


『し、知らないし……ぎゃー!!』



end


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