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パプヮ(無印)(アラシヤマ)/ほのぼの/店長
リク要素
・昼13時
・積乱雲

[午後の嵐]


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午後の日差しが降り注ぐジャングルは今日も暑い
洗濯物を終わらせ、一通り干し終えたアラシヤマはふと 空を見上げる


「積乱雲や…また天気崩れるんやろか」


ここ最近 不安定な天気が続き、何度か嵐が続いている

また 道具等が風で飛ばされるのも、せっかくの洗濯物が水浸しになるのも懲りているので 彼は 干し終えたばかりの衣類を移動させる事にした


『すみませーん、アラシヤマさーん』


茱萸木の声が 呼んでいる

聞きつけるやいなや 彼女の前に姿を現す事1.5秒
瞬きの間に眼前に立ったアラシヤマに少し怯むが 茱萸木は見知った彼の姿に安心を見せ
笑顔で言葉を続ける


『見て下さい!お魚、釣れたんですよ!そんなにいっぱいじゃないから、パプワ君達にはあげられなくて…一緒に食べません?』


アラシヤマ「え、ええんどすか?わてなんかにお魚くれはるん…てゆーか一緒に食べよーて…ええんどすかぁぁぁ!?」


『うん?だってアラシヤマさん、火を起こすの得意だし』


アラシヤマ「 茱萸木はんの為なら 火ィくらいなんぼでも着けたりますえぇぇぇぇ!」ゴウッ


『わぁー!極楽鳥だぁー!』パチパチ



その鬱陶しさから、中々住民からもガンマ団も相手にはされないが
相変わらず 茱萸木だけは普通に接してくれるので アラシヤマの目には、もう彼女が天使か女神にでも見えているのだろう

極楽鳥の舞の中 鼻血も螺旋を描いて舞っている


その時


『ん、あれ?』


ポツポツ、大粒の雫が落ちてきた


アラシヤマ「くっ、やっぱり降りよったか… 茱萸木はん、わての家に避難し!」


『はーい』


出来上がった焼き魚をしっかり抱えて、バシャバシャと足元を騒がせ アラシヤマが寝ぐらにしている洞窟に急ぐ


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━━



『んー お魚美味しいね!』


アラシヤマ「ええ、ほんまに美味しゅおす…」


『泣いてる…?そんなに美味しいの?』


アラシヤマ「ああ… 茱萸木はん、無垢なお人どす… わてはあんさんと一緒出来るんが幸せで涙が止まりません」


『あはは オーバーですよー』ケラケラ


焼き魚を食べ終え、アラシヤマの淹れてくれたお茶を口にして 一息つくと、激しい雨の音が響く


『それにしても、いつになったら止むんでしょうね?』


アラシヤマ「………止まへんでええ……」ぽそ


『え?』


アラシヤマ「い、いや……雨が止んだら、 茱萸木はん こっから出てってしまうやんか…」


茱萸木は 大きな瞳を不思議そうにこちらに向ける

止せば良いのに、人との触れ合いに飢えた彼の いつもの執着が顔を覗かせる

ウザい、鬱陶しい、けったいや思われる…
頭では解っているのだが、感情が先走り 言葉もするすると零れてしまう


アラシヤマ「な、なんか 寂しいなーて…」


『あー、ありますよねぇ そんな時』


アラシヤマ「…」


『雨の時や 体調が悪かったりする日、一人で居たくなかったり、寂しかったりするの…私も同じです』


アラシヤマ「ん、ま、まぁ そんな感じ…」


『大丈夫!寂しくなったら呼んで下さい。私の所に来て下さい。お魚食べましょ!』


アラシヤマ「そ、そんなん言われたら…毎日 茱萸木はんに 会いに行ってまうけど…」


『それって…』


アラシヤマ「ッ…いや、その」


しもた 引かれたかな…
女性に対して軽率に口走ったか?
ハッと彼女に向き直る


『毎日 お魚?ってこと?たまにはお肉も食べたい…』


アラシヤマ「いや、違ゃう違ゃう…」


思わず ずり転けて 天然のもどかしさにムズがり頭を掻き毟るが 後に続く言葉を聞いて また胸の鼓動が一際 大きく揺れる音に気付く


『んー、用事が無い時なら良いよ。毎日でも』


にこりと 花を飛ばし笑う
今まで あまり向けられた事のない表情だ

それだけでは無い、この笑顔を見ると 胸が締め付けられるように…切ないと言うか、一瞬だけ息苦しくなる


『アラシヤマさん、そんなにいつも暇なの?』


またクスクス笑う



可愛らし お人や
素直に思った


アラシヤマ「暇やないよ…」


アラシヤマ「でも 茱萸木はんと お魚戴くんは優先事項や」


『ん?シンタローさんを倒すことよりも?私とお魚食べるのが?』


アラシヤマ「 茱萸木はんが ええて言うてくれたから も、毎日 お魚食べよかなーて」


『だから、たまにはお肉もー』


アラシヤマ「このジャングルでお肉の調達は難しんやけど……頑張ってみまひょ」


『えっ 凄い凄い!アラシヤマさん 頼りになるねー』


少し抜けた喋り方
舌っ足らずで あまり物を考えていないような受け答え


しかし彼女と過ごす時間は 特別な気がする

今、やっぱり 雨は止まないで欲しい



end



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あきゅろす。
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